管理計画認定制度について詳しく

シリーズ管理計画認定制度

マンション管理計画認定制度の解説集

管理組合は何をすればよいのか 2026年7月改定版

シリーズ「マンション管理計画認定制度~管理組合は何をすればよいのか」の全体まとめページです。

簡易な解説動画もあります。ぜひご覧ください。


マンション管理計画認定制度のメリットとデメリットはなにか

第1回
マンション管理計画認定制度のメリットとデメリットはなにか(その1)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第1回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

マンション管理計画認定制度の
メリットとデメリットはなにか(その1)

 2022年4月1日からスタートした「マンション管理計画認定制度」は、今年で4年目を迎えました。京都府下で約140件(全国では約4,000件)の認定マンションが誕生しましたが、京都府下の全マンションに占める割合は5%程度と好調とはいえない状況です(2026年7月時点)。

 そこで、今年4月に区分所有法・標準管理規約等の認定制度に関係のある法律等が改正・施行されたのを機会に、新たに管理計画認定制度の認定取得を目指す管理組合が増えることを願って本シリーズの内容を改訂することにいたしました。

 本シリーズでは、管理組合あるいは管理組合をサポートするマンション管理士がどのように対応すればよいのかを考えていきたいと思います。

 大まかなテーマは、次のとおりです。

① 「マンション管理計画認定制度のメリットとデメリットはなにか」

② 「マンション管理適正化法とマンション管理適正化指針の目的を知ろう」

③ 「ガイドラインを読み込もう(認定事務・長期修繕計画作成・修繕積立金)」

④ 「結局、管理組合は何をすればよいのだろうか」

 さて、「マンション管理計画認定制度」とは、国土交通省が「マンションの管理規約などはこのように作ってくださいね」と公表している「標準管理規約」や「修繕積立金ガイドライン」「長期修繕計画作成ガイドライン」と、「あなたのマンションの管理規約」や「修繕積立金の月額」や「長期修繕計画」が同じようになっていたら「適正な管理ができているマンションです」と認めましょうというものです。認定する手続きの時に全部点検していたら大変なので、「管理組合の運営状況、長期修繕計画や修繕積立金会計の状況など16項目について一定の基準を満たした場合に適切な管理計画を持つマンション」として自治体から認定を受けられるようにします、というものです。

 制度の詳細は、次回以降に説明するとして、第1回目の今回は、幾ばくかのお金をかけて認定を受けたとして、管理組合や区分所有者にどんなメリットがあるのか、認定を受けないとどんなデメリットがあるのか、を考えてみたいと思います。

◎ マンション管理計画認定制度とは
・管理計画が一定の基準を満たす場合に地方公共団体から認定を受けられる制度
一定の基準とは
国土交通省

  • 標準管理規約
  • 修繕積立金ガイドライン
  • 長期修繕計画作成ガイドライン

比較するための
16項目の基準

あなたのマンション

  • 管理規約
  • 修繕積立金の月額
  • 長期修繕計画

 所管の国土交通省のHPでは次のことがメリットとして掲載されていて、マンション管理に携わる専門家も概ね、このように考えています。

1.マンション管理の適正化:認定制度を申請するにあたり、今の管理状況を見直す必要があり、このことが区分所有者全員の管理に対する意識改革のきっかけになる 

2.マンション市場における適切な評価:マンションの資産価値が上がることによる流通価格(売却価格)の上昇が見込まれる

3.認定マンションに関する金融支援:住宅金融支援機構の借入金利の引き下げや「マンションすまい・る債」の金利優遇がある

4.固定資産税の減額:認定を受けたマンションが一定の要件を満たす場合に、マンション長寿命化促進税制による固定資産税の減免が受けられる

1のメリットについて

 1のマンション管理の適正化の「区分所有者全員の管理に対する意識改革のきっかけになる」ことがメリットになる理由をいうと、認定基準に「災害時等で専有部分の立ち入りについての定めがある」「組合員名簿、居住者名簿が備えられている」という項目があります。しかし、これら対しては、プライバシー保護を理由にこれらを管理規約に盛り込むことに否定的な区分所有者が一定数おられます。

 そうした区分所有者の方に、「このような定めがないマンションは適正な管理がされていないと指摘される」と言えます。

 現在の修繕積立金では、将来の大規模修繕工事の際に資金が不足することが分かっているにも関わらず、修繕積立金の値上げに賛成が得られないケースも同様に、管理計画認定基準の適合状況を確認することで、住民の合意を得やすくなることが期待できます。

 小さなことですが、こうした取組をしていくことで、マンションの管理の状況が向上していくきっかけになると思います。

2・3のメリットについて

 2のマンション市場における適切な評価や、3の認定マンションに関する金融支援については、住み続けている区分所有者にとって、「流通価格(売却価格)が上がる」、ことや「住宅金融支援機構の借入金利の引き下げがある」ことにメリットがあるのか・・・

 なんか、不動産仲介業者さんが売りやすくなるメリットではないのか、と思いますが、やっぱり「売れるマンションにすることはメリット」だと思います。

 なぜなら、「売れないマンションになってしまうと、住民の高齢化が進み、死ぬまで住むけど、死んだあとはマンションがどうなっても関係ない」という人が増えます。

 そうなると、管理費や修繕積立金は少ないほうがいいという人が多くなり、お金がないからますます管理状態が悪くなり、マンションを売ろうにも高く売れなくなり、住民の世代交代が進まなくなる。世代交代が進まないと、「死んだあとは知らない」という高齢者ばかりのマンションになります。

 だから、修繕に必要な修繕積立金を積み立てていて、適正な管理を維持しているマンションだとお墨付きを得ることはメリットだと思います。

 管理組合にとっては魅力的な支援策は、「マンションすまい・る債」の金利優遇です。2026年度の募集債の通常金利が2.000%に対し、認定マンションは2.100%となります。5百万円を預けた場合で、年額5千円(税込み)の金利が上乗せされるので、多額の余裕資金を持っている管理組合が積極的に利用しています。

 「マンションすまい・る融資(マンション共用部リフォーム融資)」も、管理組合にとっては魅力的な支援策です。認定マンションは融資金利が、年0.20%引き下げが受けられます。

4のメリットについて

 4のマンション長寿命化促進税制による固定資産税の減免は、魅力的で国土交通省のHPでは最初に書かれていますが、ここでは最後にしました。理由は、対象マンションにあてはまるのは、「令和3年9月1日以降に修繕積立金の額を計画認定制度の認定基準値未満から基準値以上に引き上げていること」が必要だからです。

 つまり、認定基準値以上の修繕積立金の額を集めている優良なマンションは対象外となります。修繕積立金の増額促進策ですので、優良なマンションにまで税制優遇措置をしなくてもよい、と言う理屈です。

 一方、修繕積立金計の額が管理計画認定制度の認定基準値未満のマンションでは、修繕積立金の額の引き上げの動機付けに有効な施策です。

 *詳細は、本シリーズの ~「マンション長寿命化促進税制」とはなにか?~ をご覧ください。

デメリットについて

 では、認定を受けない場合のデメリットはなにでしょうか。

 今すぐに認定を受けないと大変だ、というほどのデメリットはありません。第一、「マンション管理計画認定制度」はマンションがある市区(町村は都道府県)が「管理適正化推進計画」を作成している必要がありますので、作成していないところにあるマンションそもそも認定は受けられません。ですから、「今すぐに認定を受けないと大変だ」ということになったら、「管理適正化推進計画」を作成していない自治体が、それこそ大変なことになります。

*京都府下:京都府(町村が対象)、京都市、木津川市、宇治市、京田辺市、長岡京市、向日市、宮津市が作成(2026年7月時点)。

 それなら別に認定を受けなくてもいいじゃないか、ということになりますが、今はそれでもいいと思います。

 しかし、公益財団法人マンション管理センターが行っている、新築分譲マンションを対象とした管理計画を予備的に認定する仕組み(「予備認定」という。以下同じ。)の適合確認を受ける新築マンションが全国では月間、数十棟のペースで増えています。(予備認定取得マンションは京都府下で約90マンション:2026年7月時点)

「予備認定」の適合確認を受けると、既存マンションと同じく「住宅金融支援機構の借入金利の引き下げ」が適用されますので、これから分譲される新築マンションは大半が適合確認を受けると思います。令和9年4月からは、「予備認定」の制度が「マンション管理計画認定制度」に包含され認定主体が自治体になります。そして、認定を受けた新築マンションで管理者が選任されたとき(第1回定時総会と想定されます。)に速やかに「マンション管理計画認定制度」への変更の認定申請をおこなうことが義務づけられました。

 今すぐには「マンション管理計画認定制度」の認定を受けたマンションは急速には増えませんが、これからも「管理適正化推進計画」を作成している自治体も増えていると思いますので、「マンション管理計画認定制度」の認定を受けたマンションが、一挙に中古売買市場に現れることになる可能性があります。

 そうなったときに、「マンション管理計画認定制度」の認定を受けたマンションと、受けていないマンションのどちらを購入するかを考える購入者が増えると思いますし、不動産仲介業者も認定の有・無を検討材料にするようにアドバイスすると思います。

 駅近かで、周りの環境もよいので、「マンション管理計画認定制度」の認定を受けなくても大丈夫というマンションはあるかもしれません。しかし、購入希望者が多いそうしたマンションは「マンション管理計画認定制度」の認定を受けようと思えば受けられるマンションだと思います。

 「マンション管理計画認定制度」の認定を受けられないマンションの未来はどうなるのかが、心配になる。これが、認定を受けないデメリットだと思います。

◎認定を受けるメリット・デメリット
メリット デメリット
・管理に対する区分所有者全員の意識改革
・資産価値向上による流通価格上昇
・金利優遇
・固定資産税減免
今すぐのデメリットはあまりない
↓ しかし
将来的に認定の有無によるマンションの差別化?

次回は、「マンション管理計画認定制度」の内容を具体的に見ていきます。

管理計画認定制度に関するお問合せ先

マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会)

電話 03-5801-0858 月曜日~土曜日 午前10時~午後5時(祝日・年末年始除く)

管理計画認定基準の適合状況のチェック支援

京都市分譲マンション管理計画認定 事前チェックサービス(京安心すまいセンター)

電話 075-744-1670 午前9時~午後5時(水曜日・第3火曜日。祝日・年末年始除く)

第2回
マンション管理計画認定制度のメリットとデメリットはなにか(その2)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第2回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

マンション管理計画認定制度の
メリットとデメリットはなにか(その2)

 今回から、「マンション管理計画認定制度」の概要を見ていきましょう。

 分譲マンションは個人の所有物の集まりであって、そのマンションの持ち主、つまり所有権者である区分所有者が管理組合を作って自分たちで管理を行うものとなっています。

 所有権という権利は極めて強い権利ですので、管理状態が悪く、朽ちかけているようなマンションで「これはなんでも改善してもらわないといけない」と思っても、自治体にしてみると所有権者に代わってその所有物であるマンションをどうこうできる権利はなく、本当にどうしようもない状態になるまで、手が出せないという状況が続いていました。

 そこで、2020年6月にマンション管理適正化法が改正され、その後、2021年6月に、行政がマンション管理状況等を踏まえ積極的に関与できる「マンション管理適正化指針」が策定されました。

 この指針により次の2つのことを自治体が出来るようになりました。

◎ マンション管理適正化指針における地方公共団体の役割

・管理の適正化を図るための助言及び指導(管理が著しく不適切な場合は是正の勧告)

・マンション管理適正化推進計画の作成とこれに基づく管理計画の認定

 一つ目は、自治体が分譲マンションの所有者の集まりである管理組合に対し、適切に管理するように、助言・指導・勧告をすることができるようになりました。「自治体がマンションの状況を適切に把握することができるようにする」ということです。

 一戸建てでも「ゴミ屋敷」になってしまうと、周辺の環境は悪くなる、ましてやマンションが「ごみマンション」になったらどうなる。これを防ぐ手立てが、この制度だ!と、言いきれないのが悔しいですが、第一歩になりますので、大きな進歩だと思います。

 二つ目は、国が菅理の項目ごとに「管理計画認定の基準」を設け、自治体が基準に従ってマンションの管理状況を認定していくことができるようになりました。

これが「マンション管理計画認定制度」の概要となります。

 次に、「管理計画の認定基準」と「確認対象書類」を確認していきます。それぞれのマンションの管理規約・長期修繕計画などのどの部分を見ていけばよいのかは、「ガイドラインを読み込もう」編で詳しく見ていきますので、今回はざっと、全体を俯瞰してみましょう。

 まず、「管理組合の運営」に関する項目です。

認定基準 提出する書類
管理者等が定められていること 集会(総会)の
議事録の写し
監事が選任されていること
集会が年1回以上開催されていること

①管理者等が定められていること
管理者等とは「理事長」のことです。理事長を選任することを決議した集会(総会)の議事録の写しがあればOKです。
②監事が選任されていること
監事を置くことを決議した集会(総会)の議事録の写しがあればOKです。
③集会が年1回以上開催されていること
集会とは「総会」のことですので、毎年、総会が開かれていれば、集会(総会)の議事録の写しがあればOKです。

 次に、「管理規約」に関する項目です。

認定基準 提出する書類
作成されていること 管理規約の写し
災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定められていること
管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(又は電磁的方法による提供)について定められていること

④管理規約が作成されていること
通常は「管理規約」はありますので、「管理規約」の写しがあればOKです。
どうでしょうか。①~④は意外と簡単だと思いませんか。
しかし、管理がきちんとできないで「ごみマンション」といった所謂「管理不全マンション」になるマンションは、年1回の総会が開かれないので、同じ人が理事長を続けていて(※)、監事もいないので管理組合会計が不明瞭になっていても誰も分からない。管理規約も当初のままで一度も改正されていいないといった状況になっていることが多くあります。だからこそ、①~④の項目が入っています。
※例えばですので、必ずしも、理事長が長期に続けていることが問題になることではありません。

 さて、次から少し、ややこしくなります。

⑤マンションの適切な管理のため、管理規約に置いて災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定められていること
 理事長は、管理に必要な場合に専有部分への立ち入りを請求できることに加え、「災害等の緊急時や管理上必要なときには、自ら専有部分に立ち入れる規定(標準管理規約単棟型第23条)」と、「修繕等の履歴情報の整理及び管理等の規程(標準管理規約第32条第6項)」が記載されている管理規約の写しがあればOKです。
 前段の災害等の規程(標準管理規約単棟型第23条)は、令和7年10年に改正されていますので、改正していない管理規約のままなら見直しが必要となります。
 なお、当面の間は、改正前の規約(令和6年6月改正版)でも認定対象となります。
⑥マンションの管理状況に係る情報取得の円滑化のため、管理規約において、管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(又は電気的方法による提供)について定められていること
 「会計帳簿や修繕等の履歴情報を書面での交付を求められた際の手続きについての規程(標準管理規約単棟型第64条第3項)」が記載されている管理規約の写しがあればOKです。
こ規程は、令和6年6月に改正されていますので、改正していない管理規約のままなら見直しが必要となります。
なお、当面の間は、改正前の規約(令和6年6月改正版)でも認定対象となります。
第1回で述べた通り、これらの項目の改正動機付けを行えることがメリットになります。

 さて次は、「管理組合の経理」に関する項目です。

認定基準 提出する書類
管理費と修繕積立金の区分経理がされている 貸借対照表及び
収支計算書
修繕積立金会計から他の会計への充当がされていない
修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内

⑦管理費及び修繕積立金等について明確に区分して経理が行われていること
 これは、管理費と修繕積立金を一緒の科目で計上せず、きちんと別々に計上していることが分かる、貸借対照表及び収支計算書の写しがあればOKです。
⑨直前の事業年度の終了の日時点における修繕積立金の3ヶ月以上の滞納額が全体の1割以内であること。
 3ヶ月以上の滞納額の総額÷年間に徴収する修繕積立金の総額で計算した割合が1割以内に納まっていることが分かる、貸借対照表及び収支計算書の写しがあればOKですが、これらでは毎月毎の滞納状況が分からないときは、各月毎の滞納状況が分かる書類の写しも必要となる場合があります
 修繕積立金の滞納に関心を持ってもらうことで、管理組合活動にも関心を持ってもらえるようになる、これもメリットかもしれません。

次回は、「長期修繕計画の作成及び見直し等」他を見ていきたいと思います。

管理計画認定制度に関するお問合せ先

マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会)

電話 03-5801-0858 月曜日~土曜日 午前10時~午後5時(祝日・年末年始除く)

管理計画認定基準の適合状況のチェック支援

京都市分譲マンション管理計画認定 事前チェックサービス(京安心すまいセンター)

電話 075-744-1670 午前9時~午後5時(水曜日・第3火曜日。祝日・年末年始除く)

第3回
マンション管理計画認定制度のメリットとデメリットはなにか(その3)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第3回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

マンション管理計画認定制度の
メリットとデメリットはなにか(その3)

 今回は、「長期修繕計画の作成及び見直し等」他に関する項目です。

 管理会社に委託されているマンションでは、通常は管理会社が定期的に「長期修繕計画の作成及び見直し等」をおこなってくれます。しかし、自主管理のマンションでは自分たちで作る必要がありますし、管理会社作成の「長期修繕計画」が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成されているかをチェックする必要はありますので、評価基準を理解することは、長期修繕工事を円滑に進めていくためのメリットになります。

認定基準 提出する書類
「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、これに基づき算定された修繕積立金が集会(総会)で決議されている。 長期修繕計画の写し・作成又は変更を決議した総会の議事録の写し
7年以内に作成又は見直しがされている 作成又は変更を決議した総会の議事録の写し
計画期間が30年以上かつ残存期間に大規模修繕工事が2回以上含まれている 長期修繕計画の写し
将来の一時金の徴収を予定していない
計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でない
計画期間の最終年度において、借入金の残高のない計画となっている

➉長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金額について集会にて決議されていること
「長期修繕計画作成ガイドライン」に示されている「長期修繕計画標準様式」に示されている次の10項目が含まれる「長期修繕計画」に基づいて算定された「修繕積立金額」が承認された時の議事録の写しと承認された「長期修繕計画書」の写しがあればOKです。
なお、前提条件として「長期修繕計画の全期間で集める修繕積立金等の総額が、推定修繕工事費用の総額を下回っていないこと(最終年度が赤字でないこと)。」が必要です。

1)修繕工事の内容(19工事項目)

2)修繕工事の概算費用

3)修繕工事のおおよその実施時期

4)修繕積立金の月当たり㎡単価

5)長期修繕計画書の計画期間が30年以上の設定期間であること

6)申請日以降の残存期間において大規模修繕工事が2回以上含まれること

7)計画期間当初における修繕積立金の残高

8)計画期間全体で集める修繕積立金の総額

9)計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額

10)(借入がある場合)借入れの状況

⑪長期修繕計画の作成又は見直しが7年以内に行われていること
上記⑩が承認された総会が、認定申請する日の7年以内に開催されていることが分かる総会の議事録の写しがあればOKです。
⑫長期修繕計画の実効性を確保するため、計画期間が30年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること
上記⑩の5)と6)の項目で、「大規模修繕工事とは、マンションの建物の外壁について行う修繕又は模様替えを含む大規模な工事」のことです。
計画期間が30年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕工事が2回以上含まれている、長期修繕計画の写しがあればOKです。
⑬長期修繕計画において将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと
長期修繕工事を行う期間中だけ(計画期間内に予定されている大規模修繕工事実施事業年度及び前後の各2事業年度の間)、通常とは異なる多額(通常の2倍以上)の修繕積立一時金を集める計画になっていない「長期修繕計画」の写しがあればOKです。
⑭長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと
「上記⑩の 7)+8)+9)の総額)÷マンションの総専有床面積(㎡)÷計画期間の月数」で計算した金額が、「修繕積立金ガイドライン」に記載されている、次のマンションの規模別の修繕積立金の平均額の下限額以上で計画している「長期修繕計画」の写しがあればOKです。

月額の専有面積当たりの修繕積立金額下限値

下限値 235円 170円 200円 190円 240円
延床面積 5000㎡未満 ~10,000㎡未満 ~20,000㎡未満 20,000㎡以上 20階以上
地上階数 20階未満

ただし、機械式駐車場がある場合は、次の計算式で算出された額を加えた下限額以上で計画する必要があります。
加算する額=①に該当する②機械式修繕工事費×機械式駐車場の台数×マンションの総専有床面積(㎡)
また、「下限額」は、上記⑩の4)の「修繕積立金の月当たり㎡単価」とは違いますので注意してください。

①機械式駐車場の機種 ②機械式駐車場の修繕工事費
(1台当たり月額)
2 段(ピット 1 段)昇降式 6,450 円/台・月
3 段(ピット 2 段)昇降式 5,840 円/台・月
3 段(ピット 1 段)昇降横行式 7,210 円/台・月
4 段(ピット 2 段)昇降横行式 6,235 円/台・月
エレベーター方式・垂直循環方式 4,645 円/台・月
その他 5,235 円/台・月

 いかがですか。ややこしいでしょう。実際に計算する際は、もっとややこしいので、「ガイドラインを読み込もう」で詳しく見ていきます。
⑮長期修繕計画の計画期間の最終年度において、借入金の残高のない長期修繕計画となっていること
 30年後に借入金がない「長期修繕計画」の写しがあればOKです。
長期修繕計画の途中で、修繕積立金が不足した場合に工事資金の借入れをおこなうことは認められますが、30年後には完済されている計画になっている必要があります。
最後は、「その他」に関する項目です。

認定基準 提出する書類
組合員名簿、居住者名簿を備えているとともに、1年に1回以上は内容の確認を行っていること 表明保証書等
都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものである  

⑯ 管理組合がマンションの区分所有者等への平常時における連絡に加え、災害等の緊急時に迅速な対応を行うため、組合員名簿、居住者名簿を備えているとともに、1年に1回以上は内容の確認を行っていること
 個人情報保護の観点から、これらの名簿を備えているという「表明保証書等」を提出すればOKです。
なお、都道府県等で独自基準を設けている場合は、その自治体の独自基準を満たしている必要があります。
ご注意:令和9年4月から管理計画認定制度の認定基準が一部改正されますので、来年度以降に認定申請を考えている場合は、改正される認定基準に準拠するようにしてください。改正内容が決定次第、別途解説を公表する予定です。

さて、ここからは、「マンション管理計画認定制度」の認定を受ける手続きです。

管理計画認定手続きは、次の5パターンがあります。なんで5つもあるのかは、大人の事情です。

事前確認の利用 費用 管理組合の労力
パターン①
マンション管理士に直接依頼する
事前確認費用以外に管理士への報酬が必要 負担は軽い
パターン②
管理協の適性評価制度を併用
事前確認費用以外に一定の費用が必要 負担は軽い
パターン③
日管連の適正化診断サービスを併用
事前確認費用のみ 負担は軽い
パターン④
マンション管理センターに直接依頼
事前確認費用のみ ある程度の労力が必要
パターン⑤
自治体に直接申請
× 自治体により異なる 相当程度の労力が必要
※自治体によっては受け付けない
表中の略称について

  • 事前確認:公益財団法人マンション管理センターによる管理計画認定手続きサービス
  • 日管連:一般社団法人日本マンション管理士会連合会
  • 管理協:一般社団法人日本マンション管理業協会

<パターン ①>

管理組合が、マンション管理士(管理会社に所属するマンション管理士の場合を含む)に、「事前確認」の依頼をおこない、自治体に認定申請を行う。

メリット:自分たちでやらなくていい  デメリット:管理士への報酬が必要

<パターン ②>

一般社団法人マンション管理業協会(以下、「管理協連」という。)の「マンション管理適正評価制度」を併用して「事前確認」の依頼をおこない、自治体に認定申請を行う。

メリット:大半の管理組合が管理会社に委託しているので頼みやすい

デメリット:一定の費用がかかる

<パターン ③>

一般社団法人日本マンション管理士会連合会(以下、「日管連」という。)の「マンション管理適正化診断サービス」を併用して「事前確認」の依頼をおこない、自治体に認定申請を行う。

メリット:費用負担が軽い、火災保険料の割引を受けられる場合がある

デメリット:管理組合への日管連の周知度が低い

<パターン ④>

管理組合が、直接マンション管理センターに「マンション管理センターが提供する管理計画認定手続支援サービスによる事前確認」(以下、「事前確認」という。)の依頼をおこない、自治体に認定申請を行う。

メリット:費用負担が軽い デメリット:すべて自分たちでやらないといけない

<パターン 5>

管理組合が、直接自治体に認定申請を行う。

メリット:費用負担が軽い

デメリット:すべて自分たちでやらないといけない。「事前確認」経由しか受け付けない自治体もある

上記の5つのパターンを見比べたとき、なんか気づきませんか。「事前確認」経由が本流だということです。なぜなら、「事前確認」は、マンション管理センターでおこなう「事前確認講習」の受講を終了したマンション管理士が審査することが担保されているからです。

その前提で、どのパターンが一番よいでしょうか。日管連加盟の弊会としては、<パターン ③>と言いたいですが、現実的には<パターン ②>が多くなっています。

やはり、身近な管理会社に依頼するのが多いようです。

次善の策は、マンション管理センターでおこなう「事前確認講習」の受講を終了したマンション管理士に「事前確認」を依頼して、自治体に認定申請をおこなうというものです。

これなら、多少費用はかかっても、きちんと対応してくれると思います。

<申請すればどうなる>

認定を受けたマンションは、希望すれば、「マンションの建物名、住所及び認定コード」をマンション管理センターが運営する管理計画認定マンション閲覧サイトで公表されます。

また、認定期間は5年間ですので、5年後(有効期間満了日の半年前から可能)には更新手続きをおこなう必要があります。

「マンション管理計画認定制度のメリットとデメリットはなにか」はこれで終了です。次は、シリーズ「マンション適正化法とマンション管理適正化指針の目的を知ろう」です。

管理計画認定制度に関するお問合せ先

マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会)

電話 03-5801-0858 月曜日~土曜日 午前10時~午後5時(祝日・年末年始除く)

管理計画認定基準の適合状況のチェック支援

京都市分譲マンション管理計画認定 事前チェックサービス(京安心すまいセンター)

電話 075-744-1670 午前9時~午後5時(水曜日・第3火曜日。祝日・年末年始除く)


マンション管理適正化法とマンション管理適正化指針の目的を知ろう

第4回
マンション管理適正化法とマンション管理適正化指針の目的を知ろう(その1)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第4回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

マンション管理適正化法と
マンション管理適正化指針の目的を知ろう(その1)

今回から、「マンション管理適正化法とマンション管理適正化指針の目的を知ろう」をテーマに考えていきたいと思います。

 昭和40年以降、大衆型のマンションが増加し、それに伴い様々な問題が発生してきたことから、昭和57年(1982年)にマンションの管理組合の標準的な管理規約及び管理委託契約書として「中高層共同住宅標準管理規約」「中高層共同住宅標準管理委託契約書」ができました。これらに基づき区分所有者の団体である管理組合が自主的・自立的に管理を行うべきですが、当時の実情(今もですが)は管理会社に丸投げであり、また、管理会社を規制する法的な縛りもない状況で諸問題の解決には繋がりませんでした。

 そこで、「マンション管理適正化法」が平成12年(2000年)12月に制定され、第1条(目的)で「住生活を取り巻く環境の変化に伴い、多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大している」ことから、次の2つの項目を通じて「マンションにおける良好な居住環境の確保を図る」ことを定めましたが、どちらかと言えば②の管理会社を規制するための法的な縛りの要素が強い法律となっていました。

「マンション管理士」の資格制度の創設により、管理組合や区分所有者に適切なアドバイスを行うことにより管理組合の円滑な運営を推進する
マンション管理業者登録制度の創設により、法的な業務規制を通じた管理事務の適切な実施の確保をおこなう

 「マンション管理適正化法」の制定により、マンション管理業者に対し法的な業務規制を通じた管理事務の適切な実施の確保はある程度実効性が担保できましたが、「マンション管理士」が行う、「管理組合や区分所有者に対する適切なアドバイス」によって管理組合が円滑な運営を推進できるようにはなっていない状況です。

 そのため、円滑な運営ができないマンション管理組合が増加すると、管理不全に陥るマンションが増加し、周辺も含めた住環境に悪影響が出てくる恐れがあることから、国や地方自治体が、マンション管理適正化の推進施策を作り、マンション管理士などと連携・協力して管理組合及び区分所有者への包括的な支援活動を行うことが必要となってきました。

 そこで、令和2年(2020年)6月に「マンション管理適正法」が改正され、第1条(目的)に次の「行政の役割強化」が追加されました。

国及び地方公共団体によるマンション管理適正化の推進として、国は基本方針を策定し、地方公共団体はマンション管理適正化推進計画制度、管理組合に対する助言、指導及び勧告、管理計画認定制度を推進する

 そして、管理組合は従前の「マンション管理適正化指針に定めるところに留意して、マンションを適正に管理するよう努めなければならない。」ことに加え「国及び地方公共団体が講じるマンションの管理の適正化の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。」ことになりました。

 このように、改正「マンション管理適正法」の目的は、次のとおりとなります。

国や地方公共団体によるマンション管理適正化の推進施策によって、国や地方公共団体とマンション管理士などが連携・協力して管理組合及び区分所有者への包括的な支援活動を行う<
マンション管理に対する専門的知識を有する「マンション管理士」の資格制度の創設により、管理組合の円滑な運営を推進する
マンション管理業者の団体を通じて、マンション管理業者の指定・監督等を行うことで、適切に管理委託業務が行われる

管理組合や区分所有者の皆さんは、「国が、このように管理してくださいと示す指針に基づいて管理を適正に行うように努力をする必要」がありますので、「管理は管理会社に丸投げ」では済まないことをよくご理解ください。

 また、マンション管理士の皆さんは、こうした国や地方公共団体が管理組合や区分所有者に対して行う包括的な支援活動の実行役を担うことが期待されていることを理解し、スキルアップに努める必要があります。

 上記の①~③を第3条で具体的に示しています。それが、「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」となります。

 まず、「基本方針」は、前文で次の問題点を指摘して、「マンションの管理の適正化の推進を図るため、必要な7つの事項を定める。」と書いてあります。

一つの建物を多くの人が区分して所有するマンションは、今や国民の1割以上が居住しているが、各区分所有者等の共同生活に対する意識の相違、多様な価値観を持った区分所有者等間の意思決定の難しさ、利用形態の混在による権利・利用関係の複雑さ、建物構造上の技術的判断の難しさなど建物を維持管理していく上で、多くの課題を有している
今後、高経年マンションが、急激に増大していくものと見込まれるが、これらに対して適切な修繕がなされないままに放置されると、老朽化したマンションは、区分所有者等自らの居住環境の低下のみならず、外壁等の剥落などによる居住者や近隣住民の生命・身体に危害、ひいては周辺の住環境や都市環境の低下を生じさせるなど深刻な問題を引き起こす可能性がある
このような状況の中で、管理組合がマンションを適正に管理するとともに、行政はマンションの管理状況、建物・設備の老朽化や区分所有者等の高齢化の状況等を踏まえてマンションの管理の適正化の推進のための施策を講じていく必要がある

必要な7項目の概要は、次の表のとおりです。

1.マンションの管理の適正化の推進に関する基本的な事項

 管理組合及び区分所有者・国・地方公共団体・マンション管理士及びマンション管理業者等のそれぞれの役割を認識するとともに、効果的にマンションの管理の適正化及びその推進を図るため、相互に連携して取組み進める必要性が記載されている

2.マンションの管理の適正化に関する目標の設定に関する事項

 地方公共団体は、国が掲げる目標を参考にしつつ、区域内のマンションの状況を把握し、実情に応じた適切な目標を設定することが望ましいことが記載されている

3.管理組合によるマンションの管理の適正化の推進に関する基本的な指針(マンション管理適正化指針)に関する事項

 「管理組合によるマンションの管理の適正化の基本的方向」、「マンションの管理の適正化のために管理組合が留意すべき事項」、「マンションの管理の適正化のためにマンションの区分所有者等が留意すべき事項」や「マンションの管理の適正化のための管理委託に関する事項」について記載されている

4.マンションがその建設後相当の期間が経過した場合その他の場合において当該マンションの建替えその他の措置に向けたマンションの区分所有者等の合意形成の促進に関する事項

 建設後相当の期間が経過したマンションについて、修繕等のほか、特例を活用した建替え等を含め、どのような措置をとるべきかを様々な区分所有者間の意向を調整して合意形成を図ることが重要であることが記載されている

5.マンションの管理の適正化に関する啓発及び知識の普及に関する基本的な事項

 国・地方公共団体・マンション管理適正化推進センター・マンション管理士、支援法人等は、相互に連携し、ネットワークを整備するとともに、管理組合等に対する積極的な情報提供及び相談体制の充実を図る必要性が記載されている

6.マンション管理適正化推進計画の策定に関する基本的な事項

 地方公共団体においては、地域の実情を踏まえた上で関係団体等と連携しつつマンション管理適正化推進計画を策定することが望ましいことや、同計画策定にあたっての留意点が記載されている

7.その他マンションの管理の適正化の推進に関する重要事項

 その他、マンション管理士制度の一層の普及促進や管理計画認定制度の適切な運用等のマンションの管理の適正化の推進に関する重要事項が記載されている

 マンション管理士の皆さんが、この表を一読されたらお分かりのとおり、マンション管理士がなすべき使命が書かれていますが、逆に言えばその使命が果たせていないと指摘されています。

 そこで、国は、「マンションの管理は、管理組合の自主的な活動が大事である」という建前は維持しつつ、「マンションの管理の適正化の推進のための施策を講じていき、地方公共団体等やマンション管理士に施策の実行を求める」ことに本気になったということです。

 それでは、1から順にみていきましょう。

Ⅰ.「マンションの管理の適正化の推進に関する基本的な事項」

 ここでは、管理組合、国、地方公共団体、マンション管理士、マンション管理業者その他のマンションの管理に関わる関係者のそれぞれの役割を明確化しています。

1.管理組合及び区分所有者の役割

 「マンションの管理の主体は、あくまでマンションの区分所有者等で構成される管理組合である」ことから、管理組合に対しては、次の2つのように、「管理組合が自律的に活動すること」を求めています。

マンション管理適正化指針及び都道府県等マンション管理適正化指針の定めるところに留意して、マンションを適正に管理するよう自ら努めなければならない
マンションストックの高経年化が進む中、これらを可能な限り長く活用するよう努めることが重要であり、管理組合は、自らの責任を自覚し、必要に応じて専門家の支援も得ながら、適切に管理を行うとともに、国及び地方公共団体が講じる施策に協力するよう努める必要がある

 そして、区分所有者等に対しも、「管理組合の一員としての役割及び修繕の必要性を十分認識して、管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加する等、その役割を適切に果たすよう努める」ように求めています。

 要は、「管理会社任せではだめです」と言っています。

2、国の役割

 国に対しては、「マンションの管理水準の維持向上と管理状況が市場において評価される環境整備を図るためにマンションの管理の適正化の推進に関する施策を講じていくよう努める必要がある。」ため、次の5つのように、「管理組合や地方公共団体のマンションの管理の適正化及びその推進に係る取組を支援していく」ように求めています。

マンション管理士制度及びマンション管理業の登録制度の適切な運用を図るほか、マンションの実態調査の実施
マンション標準管理規約」及び各種ガイドライン・マニュアルの策定や適時適切な見直しとその周知
マンションの管理の適正化の推進に係る財政上の措置
リバースモーゲージの活用等による大規模修繕等のための資金調達手段の確保
マンション管理士等の専門家の育成等

 さらに、「マンションの長寿命化に係る先進的な事例の収集・普及等に取り組むとともに、管理組合等からの求めに応じ、マンション管理適正化推進センターと連携しながら、必要な情報提供等に努める」ことを求めており、これが適正化指針に繋がっていきます。

3.地方公共団体の役割

 地方公共団体に対しては、「区域内のマンションの管理状況等を踏まえ、計画的にマンションの管理の適正化の推進に関する施策を講じていくよう努める必要がある。」ため、次の4つのことを図っていくことを求めています。

区域内のマンションの実態把握を進めるとともに、マンション管理適正化推進計画を作成する
施策の方向性等を明らかにして管理計画認定制度を適切に運用する
マンションの管理水準の維持向上と管理状況が市場において評価される環境整備を図っていく
関係地方公共団体、管理組合、マンション管理士、マンション管理業者、マンションの管理に関する知識や経験を生かして活動等を行うNPO法人等の関係者と連携を図りながら、効果的に施策を進めること

 さらに、「マンション管理士等の協力を得て、マンションに係る相談体制の充実を図るとともに、管理組合等からの求めに応じ、必要な情報提供等に努め、管理が適正に行われていないマンションに対しては、マンション管理適正化指針等に即し、必要に応じて助言、指導等を行うとともに、専門家の活用を検討するなど能動的に関与していくこと」を強く求めています。

 要は、「一旦崩れた住環境を元に戻すのは大変な作業となるので、行政が主導してマンションの管理状況を適正にしていく」ことを求めています。

4.マンション管理士及びマンション管理業者等の役割

 マンション管理士に対しては、「管理組合等からの相談に応じ、助言等の支援を適切に、誠実にその業務を行う」こと、マンション管理業者に対しては、「管理事務の委託を受けた場合には、誠実にその業務を行う」ことを求めています。

 そして、地方公共団体等からの求めに応じ、必要な協力をするよう努める必要があるとしていますので、行政との連携が重要となってきます。

5.支援法人の役割

 都道府県知事等から登録を受け、支援法人として活動する法人に対しては、「管理組合からの相談対応や合意形成等の支援を適切に行うこと」や、「地方公共団体に対するマンション管理適正化推進計画の作成又は変更の提案やマンションの管理の適正化の推進に関する施策に対する必要な協力を行うこと」を求めています。

 なお、2026年7月時点では、京都府下の市町村から登録を受けた支援法人はありません。

Ⅱ.「マンションの管理の適正化に関する目標の設定に関する事項」

 ここでは、マンションの適切な管理のためには、「適切な長期修繕計画の作成や計画的な修繕積立金の積立が必要である」と強調しています。

 そのため、国に対しては、「長期修繕計画に基づき修繕積立金を設定している管理組合の割合を増やすこと」、地方公共団体に対しては、「国が掲げる目標を参考にしつつ、マンションの管理の適正化のために管理組合が留意すべき事項も考慮し、区域内のマンションの状況を把握し、地域の実情に応じた適切な目標を設定すること」を求めています。

 要は、「管理不全にならないために、必要な資金をきちんと貯める体制をとること、マンションが位置する地域で必要な修繕積立金の額がいくらかを地方自治体が示す」ことを求めていますが、実質的には、国が「修繕積立金ガイドライン」で「修繕積立金の目安」を示し、これが「管理計画認定制度の長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の平均額の下限値」を示すものとなっています。

Ⅲの「管理組合によるマンションの管理の適正化の推進に関する基本的な指針(マンション管理適正化指針)に関する事項」については、後ほど詳しくみていくことにしますので、ここでは飛ばします。

 次回は、Ⅳの「マンションがその建設後相当の期間が経過した場合その他の場合において当該マンションの建替えその他の措置に向けたマンションの区分所有者等の合意形成の促進に関する事項」から見ていきたいと思います。

管理計画認定制度に関するお問合せ先

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第5回
マンション管理適正化法とマンション管理適正化指針の目的を知ろう(その2)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第5回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

マンション管理適正化法と
マンション管理適正化指針の目的を知ろう(その2)

 今回は、国や地方自治体に対して求めている項目の続きになりますので、興味あればお読みください。興味がなければ第6回にお進みください。

Ⅳ.「マンションがその建設後相当の期間が経過した場合その他の場合において当該マンションの建替えその他の措置に向けたマンションの区分所有者等の合意形成の促進に関する事項」

 ここでは、マンションが将来立ち行かない場合に、「建替え等を含め、どのような措置をとるべきか、様々な区分所有者等間の意向を調整し、合意形成を図っておくことが重要であり、適切に集会を開催して検討を重ね、長期修繕計画において建替え等の時期を明記しておくこと等が重要である。」と、マンションの終活について考えることを求めています。

Ⅴ.「マンションの管理の適正化に関する啓発及び知識の普及に関する基本的な事項」

 ここでは、「マンションの管理の適正化を推進するためには、必要な情報提供、技術的支援等が不可欠であることから、国及び地方公共団体は、マンションの実態の調査及び把握に努め、必要な情報提供等について、その充実を図ることが重要である。」ことから、国等に次のことを求めています。

【 国 】
法及びマンション管理適正化指針の内容の周知を行う
マンション標準管理規約や各種ガイドライン・マニュアルの策定や適時適切な見直しとその周知を行っていく
管理組合等の相談に応じられるネットワークを整備する

【 地方公共団体 】
必要に応じてマンション管理士等専門的知識を有する者や経験豊かで地元の実情に精通したマンションの区分所有者等から信頼される者、支援法人等の協力を得て、セミナーの開催やマンションに係る相談体制の充実を図るよう努める必要がある

【 マンション管理適正化推進センター 】
関係機関及び関係団体との連携を密にし、管理組合等に対する積極的な情報提供を行う等、管理適正化業務を適正かつ確実に実施する必要がある

 さらに、国等に対して、「マンションを購入しようとする者に対しても、マンションの管理の重要性を認識させるように取り組むこと」を強く求めています。

 これが、新築マンションの「予備認定」に繋がってきます。

Ⅵ.「マンション管理適正化推進計画の策定に関する基本的な事項」

 ここでは、地方自治体による「マンション管理適正化推進計画」の策定を推奨しています。

1.マンションの管理の適正化に関する目標

 区域内のマンションの状況に応じ、25年以上の長期修繕計画に基づく修繕積立金額を設定している管理組合の割合等、明確な目標を設定し、その進捗を踏まえ、施策に反映させていくこと。ここでは、25年以上となっていますが、管理計画認定事務ガイドラインでは、30年以上となっています。

2.マンションの管理の状況を把握するために講じる措置に関する事項

 マンションの管理の適正化の推進を図るためには、大規模団地や長屋型のマンション等も含めた区域内のマンションストックの状況を把握した上で、マンションの管理の実態について把握することが重要であり、登記情報等に基づくマンションの所在地の把握、管理組合へのアンケート調査等の実態調査、条例による届出制度の実施等、地域の状況に応じた措置を位置づけること、そして、マンションの管理の実態の把握については、規模や築年数等に応じ、対象を絞って行ってはどうかと言っています。

3.マンションの管理の適正化の推進を図るための施策に関する事項

 地域の実情に応じてニーズを踏まえつつ、適切な施策を行っていくことが重要であり、管理組合向けのセミナーの開催、相談窓口の設置、マンション管理士等の専門家の派遣、長期修繕計画の作成等に必要な取組に対する財政支援等が必要ではないかと問題提起しています。

 また、きめ細やかな施策を推進するため、地方公共団体、地域の実情に精通したマンション管理士等の専門家、マンション管理業者等の事業者、管理組合の代表者、NPO法人等で協議会を設置することも必要ではないかと問題提起しています。


4.管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針(都道府県等マンション管理適正化指針)に関する事項

 都道府県等が独自のマンション管理適正化指針を策定する際に、国のマンション管理適正化指針と同様のものとしてもよいが、必要に応じ、例えば、浸水が想定される区域においては適切な防災対策を講じていることなど地域の実情を踏まえたマンションの管理に求められる観点や水準を定めることが望ましいとしています。

5.マンションの管理の適正化に関する啓発及び知識の普及に関する事項

 マンションの管理の適正化の推進を図るためには、必要な情報提供、技術的支援等が不可欠であることから、マンション管理適正化推進センターやマンション管理士会、支援法人等と連携したセミナーの開催、相談窓口の設置、専門家の派遣や、これらの取組を広く周知することを位置づけることなどを示唆しています。

6.計画期間

 地域のマンションの築年数の推移や、人口動態等の将来予測を踏まえて、適切な計画期間を設定することが望ましいが、例えば、住生活基本計画(都道府県計画)が、計画期間を十年とし、五年毎に見直しを行っている場合にはこれと整合を図ることなどを示しています。

7.その他マンションの管理の適正化の推進に関し必要な事項

 管理計画認定制度の運用にあたって、指定認定事務支援法人の活用や、地域の実情に応じて取り組む独自の施策を積極的に位置づけることが望ましいとしています。

Ⅶ.「その他マンションの管理の適正化の推進に関する重要事項」

1.マンション管理士制度の一層の普及促進

 マンション管理適正化法では、マンションの管理組合のアドバイザーとしてマンション管理士が機能することを想定していましたが、なかなか思うようにはなっていない状況です。

 そこで、国、地方公共団体及びマンション管理適正化推進センターに対して、マンション管理士制度がより一層広く利用されることとなるよう、その普及のために必要な啓発を行い、マンション管理士に関する情報提供に努めるよう求め、管理組合に対しても、マンション管理士の活用を推奨しています。

2.管理計画認定制度の適切な運用

 管理計画認定制度の活用によって、マンションの管理水準の維持向上と管理状況が市場において評価される環境整備が図られることが期待される反面、一旦、管理不全になったマンションを正常な状態に戻すことは大変な労力と費用がかかることから、行政に対して、分譲時点から適切な管理を確保することを求めています。

 このため、新築分譲マンションを対象とした「予備認定」制度を、マンション管理適正化推進センターが運用することを求めており、現在、マンション管理適正化推進センターが「予備認定」制度を運営しています。

 また、地方公共団体は、指定認定事務支援法人に、認定に係る調査に関する事務を委託することができるとしています。

3.都道府県と市町村との連携

 都道府県は町村の区域内に係るマンション管理適正化推進行政事務を行うこととされていますが、市区町村と連携を図り、必要に応じて市区の区域内を含めて施策を講じていくことを求めています。

4.修繕等が適切に行われていないマンションに対する措置

 都道府県等は管理組合の管理者等に対してマンションの管理の適正化を図るために必要な助言、指導及び勧告を行うことができますが、助言等を繰り返し行っても、なおマンションの管理の適正化が図られないことも考えられます。この場合、修繕等が適切に行われなかった結果、老朽化したマンションがそのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害な状態となる恐れがあると認められるに至った場合には、勧告の措置を講ずることや、建築基準法に基づき特定行政庁である地方公共団体が改善の命令等の強制力を伴う措置を講じることも視野にいれています。

5.修繕工事及び設計コンサルタントの業務の適正化

 マンションの修繕工事や長期修繕計画の見直しをする際に、管理組合は専門的知識が不足していますので、修繕工事業者や設計コンサルタント等の言いなりになる場合が想定されます。そこで、国には、管理組合に対する様々な工事発注の方法の周知や修繕工事の実態に関する情報発信、関係機関とも連携した相談体制の強化等を通じて、マンションの修繕工事や設計コンサルタントの業務の適正化が図られるよう、必要な取組を行うことを求めています。

 また、修繕工事業者や設計コンサルタント等の関係者には、修繕工事等の入札や実施に当たり、関係法令等を遵守するとともに、管理組合の利益を犠牲にして自己又は第三者の利益を図ることがないよう、誠実かつ適正にその業務を行うことを求めています。

6.ICT化の推進

 国は、WEB会議システム等を活用した合意形成の効率化や、ドローンを活用した外壁の現況調査等、モデル的な取組に対して支援することにより、ICTを活用したマンションの管理の適正化を推進していく必要があるとしています。

 また、管理組合の負担軽減及びマンション管理業者の生産性向上の観点から、重要事項説明時や契約成立時の書面交付について、ITを活用した電磁的記録による交付が可能である旨定められています。併せて、通常、対面で行われる重要事項の説明等についても、ITを活用した説明が可能であり、これらについてマンション管理業者の団体等を通じて広く周知していくことが重要であると、ITの活用を求めています。

【これまでのことを要約すれば、「基本方針」は次の表のことを繰り返し述べています。】
マンションの管理の適正化、つまり、修繕等が適切に行われないまま老朽化したマンションがそのまま放置されることで、著しく保安上危険で著しく衛生上有害な状態となり、最終的には地方自治体の財政負担となる
①を防ぐために、地方自治体は実効性のある施策の策定を定め、管理組合に自律的に活動するよう指導・助言を行う
マンション管理士は、管理組合が自律的に活動できるようサポートする役割を担う

次回は、「マンション管理適正化指針」を見ていきたいと思います。

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第6回
マンション管理適正化法とマンション管理適正化指針の目的を知ろう(その3)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第6回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

マンション管理適正化法と
マンション管理適正化指針の目的を知ろう(その3)

 さて、後回しにした「マンション管理適正化指針」をみていきましょう。

 「マンション管理適正化指針」は、管理組合によるマンションの管理の適正化を推進するため、その「基本的な考え方」を示すとともに、地方公共団体が、管理組合の管理者等に対して助言、指導等を行う場合の判断基準の目安と管理計画を認定する際の基準を示しています。

 そこで、「基本的な考え方」の内容を確認していきながら、管理計画の「認定基準のどの項目に当てはまる」かみていきましょう。

1.管理組合によるマンションの管理の適正化の基本的方向

 マンションは、重要な居住形態であり、その適切な管理は、マンションの区分所有者等だけでなく、社会的にも要請されてとしたうえで、マンションの管理を適正に行うことにより、マンションを社会的資産と位置づけて、この資産価値をできる限り保全し、かつ、快適な居住環境が確保できるように、以下の点を踏まえつつ、マンションの管理を行うことを基本とするべきであるとしています。

【⑴マンション管理組合の運営】
管理組合は、区分所有者等の意見が十分に反映されるよう、また、長期的な見通しを持って、適正な運営を行う
経理は、健全な会計を確保するよう、十分な配慮を行う
第三者に管理事務を委託する場合は、その内容を十分に検討して契約を締結する

【⑵マンションの区分所有者等の役割】
管理組合の一員としての役割を十分認識して、管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加する等、その役割を適切に果たすよう努める

【⑶ マンション管理士等専門的知識を有する者の支援】
マンションの管理には専門的な知識を要する事項が多いため、管理組合は、問題に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の支援を得ながら、主体性をもって適切な対応をするよう心がける

【⑷ 外部の専門家が、管理組合の管理者等又は役員に就任する場合の留意点】
マンションの区分所有者等が当該管理者等又は役員の選任や業務の監視等を適正に行うとともに、監視・監督の強化のための措置等を講じることにより適正な業務運営を担保する

【(5) 民間のマンション管理の評価・認定制度の活用】
管理業協会の適性評価制度や日本マンション管理士会連合会の適正化診断などのマンション管理の評価・認定等に関する各種制度も併せて活用しつつ、多面的にマンション管理の質の向上を図る

 上記の表の(1)①は、長期修繕計画の適切な作成、(1)②は、管理費及び修繕積立金の区分経理に繋がっていきます。

 また、ここでも区分所有者の役割として、「管理組合の運営に関心を持ち、積極的に参加」するように求めるとともに、専門的知識が必要な場合は、マンション管理士等の活用を検討するように述べています。

2.マンションの管理の適正化のために管理組合が留意すべき事項

 留意事項は次のとおりです。

⑴ 管理組合の運営

 管理組合の自立的な運営は、マンションの区分所有者等の全員が参加し、その意見を反映することにより成り立つものであるとし、管理組合の運営について、次のように述べています。

情報の開示、運営の透明化等を通じ、開かれた民主的なものとする必要がある
集会(総会)は、管理組合の最高意思決定機関であるので、管理組合の管理者等は、その意思決定にあたっては、事前に必要な資料を整備し、集会において適切な判断が行われるよう配慮する必要がある
管理組合の管理者等(理事長)は、マンション管理の目的が達成できるように、法令等を遵守し、マンションの区分所有者等のため、誠実にその職務を執行する必要がある

【管理計画認定制度に当てはまる項目】
管理組合の運営 管理者等が定められていること
監事が選任されていること
集会(総会)が年一回以上開催されていること

【管理計画認定制度に当てはまる項目】
管理規約 管理規約が作成されている
マンションの適切な管理のため、管理規約において災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定められている
マンションの管理状況に係る情報取得の円滑化のため、管理規約において、管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(または電磁的方法による提供)について定められている

 ここでは、管理者(理事長)や理事等の果たす役目と情報開示について述べ、その実効性のチェック項目が「管理計画認定制度の認定基準」となっていることが分かります。

⑵ 管理規約

 管理規約は、マンション管理の最高自治規範であることから、管理組合として管理規約を作成する必要があるとし、次のように述べています。

作成にあたっては、管理組合は、「マンション標準管理規約」を参考にして、マンションの実態及びマンションの区分所有者等の意向を踏まえ、適切なものを作成する
必要に応じてその改正を行い、改正内容を十分周知すること
快適な居住環境を目指し、マンションの区分所有者等間のトラブルを未然に防止するために、使用細則等マンションの実態に即した具体的な住まい方のルールを定めておくこと
管理費等の滞納など管理規約又は使用細則等に違反する行為があった場合、管理組合の管理者等は、その是正のため、必要な勧告、指示等を行うとともに、法令等に則り、少額訴訟等その是正又は排除を求める法的措置をとること

【管理計画認定制度に当てはまる項目】
管理規約 管理規約が作成されている
マンションの適切な管理のため、管理規約において災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定められている
マンションの管理状況に係る情報取得の円滑化のため、管理規約において、管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(または電磁的方法による提供)について定められている

 ここでは、管理規約は「マンション標準管理規約」にそれぞれのマンションの実情に合わせて作成することが大事だと述べています。

 管理規約の改正内容が区分所有者に十分に周知できるように求めていることから、改正内容を網羅した管理規約全体版の作成が推奨されています。


⑶ 共用部分の範囲及び管理費用の明確化

 管理組合は、マンションの快適な居住環境を確保するため、あらかじめ、共用部分の範囲及び管理費用を明確にし、トラブルの未然防止を図ることが重要であるとし、次のように述べています。

特に、専有部分と共用部分の区分
専用使用部分と共用部分の管理及び駐車場の使用等に関してトラブルが生じることが多いことから、適正な利用と公平な負担が確保されるよう、各部分の範囲及びこれに対するマンションの区分所有者等の負担を明確に定めておく

⑷ 管理組合の経理

 管理組合がその機能を発揮するためには、その経済的基盤が確立されている必要があるとし、次のように述べています。

管理費及び修繕積立金等について必要な費用を徴収する
管理規約に基づき、これらの費目を帳簿上も明確に区分して経理を行い、適正に管理する
管理組合の管理者等は、必要な帳票類を作成してこれを保管する
マンションの区分所有者等の請求があった時は、これを速やかに開示することにより、経理の透明性を確保する

【管理計画認定制度に当てはまる項目】
管理組合の経理 管理費及び修繕積立金等について明確に区分して経理が行われている
修繕積立金会計から他の会計への充当がされていない
直前の事業年度の終了の日時点における修繕積立金の三ヶ月以上の滞納額が全体の一割以内である

【管理計画認定制度に当てはまる項目】
管理規約 管理規約が作成されている
マンションの管理状況に係る情報取得の円滑化のため、管理規約において、管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(または電磁的方法による提供)について定められている

 ここでは、管理費及び修繕積立金の徴収と区分経理、必要な帳票類の保管が大事だと述べています。

 また、管理組合の経理の透明性の確保から、情報開示を求めていることから、ここでも、改正内容を網羅した管理規約全体版の作成が推奨されています。

次回からは、「長期修繕計画書」について見ていきたいと思います。

管理計画認定制度に関するお問合せ先

マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会)

電話 03-5801-0858 月曜日~土曜日 午前10時~午後5時(祝日・年末年始除く)

管理計画認定基準の適合状況のチェック支援

京都市分譲マンション管理計画認定 事前チェックサービス(京安心すまいセンター)

電話 075-744-1670 午前9時~午後5時(水曜日・第3火曜日。祝日・年末年始除く)

第7回
マンション管理適正化法とマンション管理適正化指針の目的を知ろう(その4)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第7回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

マンション管理適正化法と
マンション管理適正化指針の目的を知ろう(その4)

 今回から、「長期修繕計画書」に関する項目です。

⑸ 長期修繕計画の作成及び見直し等

 マンションの快適な居住環境を確保し、資産価値の維持向上を図るためには、適時適切な維持修繕を行うことが重要であるとして、次のように述べています。

経年による劣化に対応するため、あらかじめ長期修繕計画を作成し、必要な修繕積立金を積み立てておく
長期修繕計画の作成及び見直しにあたっては、「長期修繕計画作成ガイドライン」を参考に、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の意見を求め、また、あらかじめ建物診断等を行って、その計画を適切なものとするよう配慮する
長期修繕計画の実効性を確保するためには、修繕内容、資金計画を適正かつ明確に定め、それらをマンションの区分所有者等に十分周知させる
管理組合の管理者等は、維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管する
図書等について、マンションの区分所有者等の求めに応じ、適時閲覧できるようにする
建設後相当の期間が経過したマンションにおいては、長期修繕計画の検討を行う際には、必要に応じ、建替え等についても視野に入れて検討することが望ましい。建替え等の検討にあたっては、その過程をマンションの区分所有者等に周知させるなど透明性に配慮しつつ、各区分所有者等の意向を十分把握し、合意形成を図りながら進める必要がある

【管理計画認定制度に当てはまる項目】
長期修繕計画の作成及び見直し等 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金額について集会にて決議されている
長期修繕計画の作成または見直しが七年以内に行われている
長期修繕計画の実効性を確保するため、計画期間が三十年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕工事が二回以上含まれるように設定されている
長期修繕計画において将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していない
長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でない
長期修繕計画の計画期間の最終年度において、借入金の残高のない長期修繕計画となっている

【管理計画認定制度に当てはまる項目】
管理規約 管理規約が作成されている
マンションの管理状況に係る情報取得の円滑化のため、管理規約において、管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(または電磁的方法による提供)について定められている

 第6回でみてきたとおり、管理組合の運営では、適切に改正がされてきた「管理規約全体版」があるかが重要です。それに加えて上記のとおり、マンションの維持管理には、長期修繕計画の作成と、長期修繕計画に見合った修繕積立金の積立が必要ですので、これらの項目が「管理計画認定制度の認定基準」となっていることが分かります。

⑹ マンションの修繕の実施

 適時適切な維持修繕に当たっては、保守点検や、軽微な破損などに対して行う経常的な補修のほか、長期修繕計画に基づき、一定の年数の経過ごとに計画的に修繕を行うことが必要であるとして、次のように述べています。

大規模修繕の実施に当たっては、建物・設備の調査・診断を行い、現状の劣化・損傷の程度等を正確に把握し、必要と考えられる修繕工事の内容を検討すること
修繕のほか、マンションの居住環境や資産価値を良好に維持するためには、修繕による性能・機能の回復に加えて、生活様式や社会環境の変化等を踏まえ、性能・機能を向上させる改良を行うこと

【管理計画認定制度に当てはまる項目】
長期修繕計画の作成及び見直し等 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金額について集会にて決議されている
長期修繕計画の作成または見直しが七年以内に行われている
長期修繕計画の実効性を確保するため、計画期間が三十年以上で、かつ、残存期間内に大規模修繕工事が二回以上含まれるように設定されている
長期修繕計画において将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していない
長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でない
長期修繕計画の計画期間の最終年度において、借入金の残高のない長期修繕計画となっている

(7) 発注等の適正化

 管理業務の委託や工事の発注等においては、事業者の選定では、管理組合の意思決定の透明性確保や利益相反等に注意して、適正に行われる必要があること。

 また、第三者管理として「外部の専門家が管理組合の管理者等又は役員に就任する場合」においては、マンションの区分所有者等から信頼されるような発注等に係るルールの整備の必要性を述べています。

(8) 良好な居住環境の維持及び向上

 マンションの資産価値や良好な居住環境を維持する観点から、防災等について次のとり述べています。

防災に係る計画の作成・周知や訓練の実施、被災時を想定した管理規約上の取り決め、火災保険への加入等、管理組合としてマンションにおける防災・減災や防犯に取り組むこと
防災・減災、防犯に加え、日常的なトラブルの防止などの観点からも、マンションにおけるコミュニティ形成は重要なものであり、管理組合においても、区分所有法に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むこと

 「申請するマンションにおける防災に関する方針を記載した書類の作成と区分所有者等への周知方法」が令和9年4月の管理計画認定制度の認定基準の改正で盛り込まれますので、対応が必要となります。

 また、自治会及び町内会等(以下「自治会」という。)との関わり方について、次のとおり述べています。

管理組合と異なり、各居住者が各自の判断で加入するものであることに留意するとともに、特に管理費の使途については、マンションの管理と自治会活動の範囲・相互関係を整理し、管理費と自治会費の徴収、支出を分けて適切に運用する
適切な峻別や、代行徴収に係る負担の整理が行われるのであれば、自治会費の徴収を代行することや、防災や美化などのマンションの管理業務を自治会が行う活動と連携して行うことも差し支えない

(9)その他配慮すべき事項

マンションが団地を構成する場合には、各棟固有の事情を踏まえつつ、全棟の連携をとって、全体としての適切な管理がなされるように配慮すること
複合用途型マンションにあっては、住宅部分と非住宅部分との利害の調整を図り、その管理、費用負担等について適切な配慮をする
管理組合は、組合員名簿や居住者名簿の管理方法等、個人情報の取り扱いにあたっては、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)による個人情報取扱事業者としての義務を負うことに十分に留意する

【管理計画認定制度に当てはまる項目】
その他 管理組合がマンションの区分所有者等への平常時における連絡に加え、災害等の緊急時に迅速な対応を行うため、組合員名簿、居住者名簿を備えているとともに、一年に一回以上は内容の確認を行っている

 管理組合が、区分所有者名簿や居住者名簿を整備しておくことは、災害時の緊急時に必要なことから、これらの項目が「管理計画認定制度の認定基準」となっていることが分かります。

3 マンションの管理の適正化のためにマンションの区分所有者等が留意すべき事項

 マンションを購入する際の留意点を、次のとおり述べています。

マンションを購入しようとする者は、マンションの管理の重要性を十分認識し、売買契約だけでなく、管理規約、使用細則、管理委託契約、長期修繕計画等管理に関する事項に十分に留意する
管理組合及びマンションの区分所有者等は、マンションを購入しようとする者に対するこれらの情報の提供に配慮する
マンションの区分所有者等は、その居住形態が戸建てとは異なり、相隣関係等に配慮を要する住まい方であることを十分に認識し、その上で、マンションの快適かつ適正な利用と資産価値の維持を図るため、管理組合の一員として、進んで、集会その他の管理組合の管理運営に参加するとともに、定められた管理規約、集会の決議等を遵守する必要がある。そのためにも、マンションの区分所有者等は、マンションの管理に関する法律等についての理解を深める
専有部分の賃借人等の占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、マンションの区分所有者等が管理規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負うことに十分に留意する

【管理計画認定制度に当てはまる項目】
管理規約 管理規約が作成されている
マンションの適切な管理のため、管理規約において災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定められている
マンションの管理状況に係る情報取得の円滑化のため、管理規約において、管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(または電磁的方法による提供)について定められている

 マンションの購入者や賃貸人等にとっても、適切に改正がされてきた「管理規約全体版」があることが重要ですので、改正内容を網羅した管理規約全体版の作成が推奨されています。

4 マンションの管理の適正化のための管理委託に関する事項

 管理組合が管理事務を管理会社等に委託する際の留意点を、次のとおり述べています。

マンションの管理の主体は管理組合自身であることを認識したうえで、管理事務の全部又は一部を第三者に委託しようとする場合は、「マンション標準管理委託契約書」を参考に、その委託内容を十分に検討し、書面又は電磁的方法(管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の承諾を得た場合に限る。)をもって管理委託契約を締結する
管理委託契約先を選定する場合には、管理組合の管理者等は、事前に必要な資料を収集し、マンションの区分所有者等にその情報を公開するとともに、マンション管理業者の行う説明会を活用し、適正な選定がなされるように努める
管理委託契約先が選定されたときは、管理組合の管理者等は、説明会等を通じてマンションの区分所有者等に対し、当該契約内容を周知するとともに、マンション管理業者の行う管理事務の報告等を活用し、管理事務の適正化が図られるよう努める
マンション管理業者の業務に関して問題が生じた場合には、管理組合は、当該マンション管理業者にその解決を求めるとともに、必要に応じ、マンション管理業者の所属する団体にその解決を求める等の措置を講じる

次回は次のテーマ、「ガイドラインを読み込もう(認定事務・長期修繕計画作成・修繕積立金))」を見ていきます。

【おことわり】
 次回のテーマは、これまでのテーマの復習と具体的な認定基準を「マンション管理計画認定事務ガイドライン」に沿ってお話ししますので、管理計画認定制度を大まかに知ればいいという方は、その次のテーマにお移りください

管理計画認定制度に関するお問合せ先

マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会)

電話 03-5801-0858 月曜日~土曜日 午前10時~午後5時(祝日・年末年始除く)

管理計画認定基準の適合状況のチェック支援

京都市分譲マンション管理計画認定 事前チェックサービス(京安心すまいセンター)

電話 075-744-1670 午前9時~午後5時(水曜日・第3火曜日。祝日・年末年始除く)


ガイドラインを読み込もう
(認定事務・長期修繕計画作成・修繕積立金)

第8回
ガイドラインを読み込もう
(認定事務・長期修繕計画作成・修繕積立金)(その1)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第8回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

ガイドラインを読み込もう
(認定事務・長期修繕計画作成・修繕積立金)(その1)

【おことわり】
 今回のテーマは、これまでのテーマの復習と具体的な認定基準を「マンション管理計画認定事務ガイドライン」に沿ってお話ししますので、管理計画認定制度を大まかに知ればいいという方は、次のテーマにお移りください。

 また、2027年(令和9年)4月に「マンション管理計画認定事務ガイドライン」の改正がありますが、本原稿は2026年7月時点の認定基準を記載していますので、ご注意ください。

 今回から、「ガイドラインを読み込もう(認定事務・長期修繕計画作成・修繕積立金)」をテーマに考えていきたいと思います。

 「マンション管理計画認定事務ガイドライン(令和8年3月改訂版)」では「はじめに」で繰り返し、「改正マンション管理適正化法の改正の背景」として、高経年マンションが急増する見込みであることから、次のように述べています。

マンションの老朽化を抑制し、周辺への危害等を防止するための維持管理の適正化や、老朽化が進み維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取組の強化が喫緊の課題である
マンションの管理の適正化の推進のため、マンション管理適正化推進計画や管理計画の認定などの制度が創設された

 そして、「管理計画認定制度」と「都道府県等のマンション管理適正化推進計画」との関係については、都道府県等は国の基本方針に基づき次のことができると述べています。

マンション管理適正化推進計画の作成
都道府県等の区域内における管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針の作成
国のマンション管理適正化指針に加えて、都道府県等の地域性を踏まえた独自の指針を定めることも可能
地域のマンションの立地状況や政策の方向性に合わせて、独自の助言・指導又は勧告、管理計画の認定に係る基準の作成

 早い話、都道府県等が管理計画の認定を行うためには、推進計画を作成していることが必要で、あわせて都道府県等が独自の指針を定めた場合、助言・指導及び勧告や管理計画の認定に当たっては、当該指針に合わせた認定基準の作成が必要であるということです。

そして、「マンションの管理計画認定制度の狙い」を次のように述べています。

管理組合による管理の適正化に向けた自主的な取り組みが推進される
管理計画の認定を受けたマンションについて、市場で高く評価される
良質な管理水準が維持されることで、居住者のみならず、周辺地域の良好な居住環境の維持向上が図れる

 ここに示されているとおり、管理計画認定により、①のマンションの管理適正化が推進され、②の市場価値の向上が期待できることから管理組合の管理意識の向上が図られ、それにより③の良好な居住環境の維持向上が図られることを管理計画認定制度で実現しようというものです。

次に、「申請主体と認定における審査対象」については次のとおりです

申請主体と
審査対象

管理計画の認定の申請主体は、マンションの管理組合の管理者等である

管理者等とは、法人以外の管理組合では「理事長」が該当する。法人の管理組合では「理事」が該当する。

審査対象は、住宅部分の共用部分である

なお、複合用途型及び団地型マンションの場合は次のとおりとなる

①複合用途型マンションの場合

複合用途型マンションにおける管理計画認定の申請主体は、全体管理組合(マンションの区分所有者全員によって構成される管理組合をいう。)の管理者等のみである。

建物に複数の管理者等が存在する場合、店舗部会の管理者等を除く管理者等の連名により申請する。

全体共用部分並びに住宅及び店舗の一部共用部分のそれぞれに管理者等が存在する場合、申請は、全体管理組合及び住宅部会の合意のもとで行い、認定対象となる管理計画の範囲は全体共用部分及び住宅一部共用部分に関する部分とする。

②団地型マンションの場合

 1)区分所有法第 68 条規約ありの場合

申請主体は団地管理組合(区分所有法第 65条団体)の管理者等となる。

認定対象となる管理計画の範囲は、商業等の用に供する部分を除いた団地全体である。

 2)区分所有法第 68 条規約なしの場合

申請主体は各棟の管理組合(3条団体)の管理者等及び団地管理組合(65条団体)の管理者等となる。

認定対象となる管理計画の範囲は、商業等の用に供する部分を除いた部分となる。

 なお、「認定申請」には次のとおり総会決議が必要です。

認定申請に
必要な決議

認定申請にあたっては、その旨を集会(総会)で決議を得る必要がある。認定の更新も同様に決議が必要である。

 総会で、「認定申請する理由や、メリットやコスト」などを説明して、区分所有者の理解を得る必要があります。

 そのためには、理事会で「管理計画認定制度」が、本当に自分たちのマンションに必要なものかを検討しておくことが大事です。

 また、理事会で「管理計画認定制度」について、「マンション管理士から説明を聞く機会を設ける」ということも専門家の活用という意味で大事だと言えますし、マンション管理士も積極的に説明会などに関与していくことが必要です。

 また、「認定の有効期間」は、認定を受けた日から5年間であることなどが書かれています。

 次に、マンションの管理計画認定制度の申請手続きとして、(公財)マンション管理センターによる管理計画認定手続支援サービス(以下、事前確認という。)を導入して、審査事務負担の軽減を図るとしています。

 その他、こまごまとしたことが書かれていますが、実際の申請時に(公財)マンション管理センターのマニュアルを見ればわかることなので、今回は割愛します。

 さて、ここから「事務ガイドライン」のメインである、「管理計画の認定基準、申請書類及び確認方法」を具体的にみていきましょう。

 【確認のために提出が必須である書類】と、<チェックポイント!>によって、認定審査がされますので、管理組合等の申請者は、【確認のために提出が必須である書類】と、<チェックポイント!>に従って準備する必要があります。

(1)「管理組合の運営」の認定基準

 ① 管理者等が定められていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「建物の維持管理等の管理組合の業務を円滑に行うための職務を行う管理者等の存在が重要」だという理由からであると思います。

 区分所有法では、管理組合法人は理事が執行機関として建物の維持管理等の職務を行いますが、法人ではない管理組合は、この職務を行う「管理者」を選任できることになっていますので、必ずしも選任する義務はありません。

 しかし、管理者がいないと管理組合の運営が円滑に行えないことから、一般的に「理事長」とよばれる管理者が定められていることが「認定基準」となっています。なお「管理者等」となっているのは、法人の管理組合の場合は「理事」が管理者の立場になるからです。

【確認のために提出が必須である書類】
管理者等を選任することを決議した集会(総会)の議事録の写し (注1)
管理規約で「理事会で選任する」などの定めがある場合は(注2)、管理規約の写し及び理事会の議事録の写し等が、必要になります
議事録などに署名(または電子署名)があることが必要です(注3)

<チェックポイント!>
注1 集会(総会)議事録で、「理事長 だれだれが承認された」旨の記載があることを確認する
注2

管理規約で、「理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する。」旨の記載があることを確認する

理事会議事録で、「理事長 だれだれとする」旨の記載があることを確認する

注3

押印については、令和3年9月1日までに開催された総会の議事録には押印が必要であるため、署名及び押印(*)があることを確認する。令和3年9月1日以降に開催された集会(総会)の議事録については、管理規約で署名のみと規定されている場合は、署名のみなされていることを確認する

議事録が電磁的記録で作成されている場合、電子署名があることを確認する

*議長及び議長が指名した2名の総会に出席した組合員の計3名

なお、管理者等は必ずしも区分所有者である必要はありません(管理会社等の場合が想定されます)

 「標準管理規約」では、第35条第2項で「理事及び監事は、総会の決議によって、組合員のうちから選任し、又は解任する。」となっており、第51条第2項で「理事会は、次に掲げる職務を行う。三 理事長、副理事長及び会計担当理事の選任及び解任」となっていますので、②に該当するケースは多いと思います。

 ② 監事が選任されていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「管理組合の業務の執行、財産の状況を監査し、その結果を総会で報告する監事の存在が重要」だという理由だと思います。

 区分所有法では、管理組合法人は監事を置く義務がありますが、法人ではない管理組合は、監事を置く義務はありませんので、必ずしも選任する義務はありません。

 しかし、監事がいないと管理組合の業務の執行、財産の状況を監視する役割が果たせないことから、監事選任が「認定基準」となっています。

【確認のために提出が必須である書類】
監事を選任することを決議した集会(総会)の議事録の写し (注1)
管理規約で「理事会で選任する」などの定めがある場合は(注2)、管理規約の写し及び理事会の議事録の写し等が、必要になります
管理規約で監事の職務に関する定められていることを確認する(注3)
議事録などに署名(または電子署名)があることが必要です(注4)

<チェックポイント!>
注1 集会(総会)議事録で、「監事 だれだれが承認された」旨の記載があることを確認する
注2

管理規約で別段の定めがある場合には、「・・監事は、理事会で選任する。」旨の記載があることを確認する

理事会議事録で、「監事 だれだれとする」旨の記載があることを確認する

注3

管理規約で、「標準管理規約第41条第1項」に準拠した記載があることを確認する

注4

押印については、令和3年9月1日までに開催された総会の議事録には押印が必要であるため、署名及び押印(*)があることを確認する。令和3年9月1日以降に開催された集会(総会)の議事録については、管理規約で署名のみと規定されている場合は、署名のみなされていることを確認する

*議長及び議長が指名した2名の総会に出席した組合員の計3名

議事録が電磁的記録で作成されている場合、電子署名があることを確認する

その他

管理組合法人に置く監事は、理事又は管理組合法人の使用人と兼任してはならないため(区分所有法第 50 条第2項)、兼任していないことを確認する

備考

【マンション標準管理規約(単棟型)】

(監事)

第41条  監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない。

以降 略

 監事の場合は、「標準管理規約」では、第35条第2項で「理事及び監事は、総会の決議によって、組合員のうちから選任し、又は解任する。」となっていますので、②に該当するケースは少ないと思います。

 ③ 集会(総会)が年1回以上開催されていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「管理組合の最高の意思決定機関である総会の存在が重要」だという理由だと思います。

 区分所有法では、管理者は、少なくとも毎年1回集会を招集しなければならないとされています。そのことを確認するために「認定基準」となっています。また、集会を招集しなかった場合、20万円以下の過料に処せられます(区分所有法第91条第四号)。

【確認のために提出が必須である書類】
認定申請日の直近に開催された集会(総会)の議事録の写し(注1)
議事録などに署名(または電子署名)があることが必要です(注2)

<チェックポイント!>
注1

認定申請日の直近に開催された総会の総会議事録の開催日付が認定申請日の1年前以降であることを確認する
*総会は、定期総会だけでなく臨時総会も含む

新型コロナ禍等への対応として、前年の総会の開催日から1年以内に集会を開催することができなかった場合は、総会議事録に「その状況が解消された後、遅滞なく集会(総会)を招集している」旨の記載があること、又は別途確認できる資料で確認する

注2

押印については、令和3年9月1日までに開催された総会の議事録には押印が必要であるため、署名及び押印(*)があることを確認する。令和3年9月1日以降に開催された集会(総会)の議事録については、管理規約で署名のみと規定されている場合は、署名のみなされて

*議長及び議長が指名した2名の総会に出席した組合員の計3名

議事録が電磁的記録で作成されている場合、電子署名があることを確認する

次回は、「(2)管理規約の認定基準」以降を見ていきます。

管理計画認定制度に関するお問合せ先

マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会)

電話 03-5801-0858 月曜日~土曜日 午前10時~午後5時(祝日・年末年始除く)

管理計画認定基準の適合状況のチェック支援

京都市分譲マンション管理計画認定 事前チェックサービス(京安心すまいセンター)

電話 075-744-1670 午前9時~午後5時(水曜日・第3火曜日。祝日・年末年始除く)

第9回
ガイドラインを読み込もう
(認定事務・長期修繕計画作成・修繕積立金)(その2)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第9回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

ガイドラインを読み込もう
(認定事務・長期修繕計画作成・修繕積立金)(その2)

【おことわり】
 今回のテーマは、これまでのテーマの復習と具体的な認定基準を「マンション管理計画認定事務ガイドライン」に沿ってお話ししますので、管理計画認定制度を大まかに知ればいいという方は、次のテーマにお移りください。

 また、2027年(令和9年)4月に「マンション管理計画認定事務ガイドライン」の改正がありますが、本原稿は2026年7月時点の認定基準を記載していますので、ご注意ください。

 今回は、「管理規約の認定基準」からみていきたいと思います。

(2)「管理規約」の認定基準

 ① 管理規約が作成されていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「各区分所有者の権利義務、費用の負担、意思決定の方法等をあらかじめ明確にし、建物の施設及び設備の的確な維持・修繕に必要なことを定めているものが管理規約である」という理由だと思います。

【確認のために提出が必須である書類】
管理規約の写し(注1)

<チェックポイント!>
注1

管理規約の写しが提出されればそれでよい。

標準管理規約に準拠しているかどうかは審査対象外

その他

規約が改正されている場合は、新旧形式ではなく、現在有効な管理規約全体版(改正箇所を網羅したもの)の提出が推奨(*)されている

*規約の全体像を管理組合内で周知し理解を進めるため

*推奨なので、全体版でなければならないという意味ではない

参考

規約が規約原本の内容から総会決議により変更されているときは、理事長は、1通の書面に、現に有効な規約の内容と、その内容が規約原本及び規約変更を決議した総会の議事録の内容と相違ないことを記載し、署名した上で、この書面を保管する必要があります。

 ② マンションの適切な管理のため、管理規約において災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定められていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「大規模災害時にマンションが被害を受けた際、所有者が所在不明等で、その専有部分又は専用使用部分が他の専有部分や共用部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与える状態のまま放置しておくと管理不全に繋がる恐れがある」ことから管理者等が被害状況を把握するために緊急立ち入りができるようにしておくことが大事だからだと思われます。

 また、「大規模修繕工事、計画修繕工事及び設備改修工事等の修繕の時期、箇所、費用及び工事施工者等や、設備の保守点検などの修繕等の履歴情報を整備しておくこと」がそのマンションの管理状況の適否を判断する際の有効な情報となるためだと思います。

【確認のために提出が必須である書類】
管理規約の写し(注1)

<チェックポイント!>
注1

管理規約に災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部分の立ち入りについての規定(マンション標準管理規約(単棟型)第23条に相当する規定)があることを確認する。

*第23条は令和7年10月の改正内容(備考に記載の赤波線の部分)であることが望ましいが、当面の間は改正前の規約(令和6年6月改正版)でも認定対象とする

管理規約に修繕等の履歴情報の管理等についての規定(マンション標準管理規約(単棟型)第32条第6号に相当する規定)があることを確認する

なお、実際の履歴情報に関する書類の管理状況等の確認は必要ない

備考

【マンション標準管理規約(単棟型)】

(必要箇所への立入り

第23条 前2条により管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分若しくは専用使用部分への立入り又は自らこれに保存行為を実施することを請求することができる。

 2 前項により立入り又は保存行為の実施を請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。

 3 前項の場合において、正当な理由なく立入り又は保存行為の実施を拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない。

 4 前3項の規定にかかわらず、理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入り又は保存行為の実施をしなければ、共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、自らその専有部分又は専用使用部分に立ち入り、又は保存行為を実施することができる。この場合において、理事長は、委任した者にこれを行わせることできる。

 5 立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない。

(業務)

第32条 管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。

一~五 略

六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等

七~十五 略

参考

【マンション標準管理規約(単棟型)コメント】

第23条関係(第4項関係)

 ① 本条で想定される他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入り又は保存行為の実施とは、ある区分所有者の専有部分内の配管から漏水が発生し、共用部分や他の区分所有者の専有部分に被害が生じているような場合において、漏水発生元の専有部分に立ち入るとともに、漏水発生元の専有部分の区分所有者に代わって漏水箇所の補修を行う場合等が想定される。

 ② 第4項の緊急の立入りが認められるのは、災害時等における共用部分に係る緊急的な工事に伴い必要な場合や、専有部分における大規模な水漏れ等、そのまま放置すれば、他の専有部分や共用部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがある場合に限られるものである。

 ③  第4項の規定の実効性を高めるため、管理組合が各住戸の合い鍵を預かっておくことを定めることも考えられるが、プライバシーの問題等があることから、各マンションの個別の事情を踏まえて検討する必要がある。

第32条関係

 修繕等の履歴情報とは、大規模修繕工事、計画修繕工事及び設備改修工事等の修繕の時期、箇所、費用及び工事施工者等や、設備の保守点検、建築基準法第12条第1項及び第3項の特定建築物等の定期調査報告及び建築設備(昇降機を含む。)の定期検査報告、消防法第8条の2の2の防火対象物定期点検報告等の法定点検、耐震診断結果、石綿使用調査結果など、 維持管理の情報であり、整理して後に参照できるよう管理しておくことが今後の修繕等を適切に実施するためにも有効な情報である。

 ご注意:標準管理規約第23条(必要箇所への立入り)第4項と第32条第6号と同じことが管理規約に記載されていないとダメですということですので、例えば、ホームセキュリティーを契約しているので、この文言と異なる規定になっている場合は、ホームセキュリティーなどの記載は別項としたほうがよいと思います。

 ③ マンションの管理状況に係る情報取得の円滑化のため、管理規約において、管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(又は電磁的方法による提供)について定められていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「管理組合の財務・管理に関する情報が外部に開示されることにより、透明性のある優良な管理が行われているマンションであるであると市場で評価されることで、管理の適正化が促される」と「マンションの管理計画認定制度の狙い」があるからだと思います。

【確認のために提出が必須である書類】
管理規約の写し(注1)

<チェックポイント!>
注1

管理規約に管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(又は電磁的方法による提供)についての規定(マンション標準管理規約(単棟型)第64条第3項に相当する規定)があることを確認する

 *本条は令和6年6月の改正内容(備考に記載の赤波線の部分)であることが望ましいが、当面の間は改正前の規約(令和3年6月改正版)でも認定対象とする

備考

【マンション標準管理規約(単棟型)】

(帳票類等の作成、保管)

(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

第64条
第3項 理事長は、第49条第3項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、第49条の2(第53条第5項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。

(イ)電磁的方法が利用可能な場合

第64条
第3項 理事長は、第49条第5項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、第49条の2第1項(第53条第5項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面(又は電磁的方法)による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付(し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供)することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。

参考

【マンション標準管理規約(単棟型)コメント】

第64条関係(第3項関係)

 第3項は、組合員又は利害関係人が、管理組合に対し、第49条第3項 (第53条第4項において準用される場合を含む。)、第49条の2(第53条第5項において準用される場合を含む。)、本条第1項、第2項並びに第72条第2項及び第4項の閲覧ではなく、管理組合の財務・管理に関する情報のうち、自らが必要とする特定の情報のみを記入した書面の交付を求めることが行われている実態を踏まえ、これに対応する規定を定めるものである。書面交付の対象とする情報としては、大規模修繕工事等の実施状況、今後の実施予定、その裏付けとなる修繕積立金の積立ての状況(マンション全体の滞納の状況も含む)や、ペットの飼育制限、楽器使用制限、駐車場や駐輪場の空き状況等が考えられるが、その範囲については、交付の相手方に求める費用等とあわせ、細則で定めておくことが望ましい。別添4は、住戸の売却予定者(組合員)から依頼を受けた宅地建 物取引業者が当面必要とすると考えられる情報を提供するための様式の一例に記載のある主な情報項目であり、上述の細則を定める場合の参考とされたい。

 第3項に規定する管理組合の財務・管理に関する情報については、これらの情報が外部に開示されることにより、優良な管理が行われているマンションほど市場での評価が高まることや、こうした評価を通じて管理の適正化が促されることが想定されることから、書面交付の対象者に住戸の購入予定者を含めて規定することも考えられる。一方で、開示には防犯上の懸念等もあることから、各マンションの個別の事情を踏まえて検討することが必要である。

 ご注意:標準管理規約第64条(帳票類等の作成、保管)第3項と同じことが管理規約に記載されていないとダメですということですので注意してください。

(3)管理組合の経理の認定基準

 ① 管理費及び修繕積立金等について明確に区分して経理が行われていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「大規模修繕工事を実施するためには、多額の費用が必要であるが、定期的に積み立てることで一時金負担を回避することが有効であること、また、積立金は管理費とは別に修繕積立金として区分して経理することが修繕工事費を確保するために重要である」ということだと思います。

【確認のために提出が必須である書類】
認定申請日の属する事業年度の直前の事業年度の集会(総会)において決議された管理組合の貸借対照表及び収支計算書(注1)
新築等により、当該直前の事業年度がない場合には、申請日を含む事業年度における総会において決議された収支予算書(注2)

<チェックポイント!>
注1

貸借対照表及び収支計算書において、管理費会計と修繕積立金等会計が明確に区分されていることを確認する

注2

収支予算書において区分経理されていることを確認する

注3

預金口座の通帳では区分経理されていることを確認できないため、本項目の確認書類としては貸借対照表及び収支計算書以外は認められない

参考

【マンション標準管理規約(単棟型)】

(修繕積立金)
第28条 1~3 略
4 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。

参考

【マンション標準管理規約(単棟型)コメント】

第28条関係(第4項関係)
 対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う計画的な維持修繕工事が重要であるので、修繕積立金を必ず積み立てることとしたものである。

 分譲会社が分譲時において将来の計画修繕に要する経費に充当していくため、一括して購入者より修繕積立基金として徴収している場合や、修繕時に、既存の修繕積立金の額が修繕費用に不足すること等から、一時負担金が区分所有者から徴収される場合があるが、これらについても修繕積立金として積み立てられ、区分経理されるべきものである。

 ② 修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと

 この項目が「認定基準」になっているのは、「前①の区分経理が、確実に履行されていることを確認するために重要である」ということだと思います。管理費が不足した場合に、お金がある修繕積立金から流用されることが無いように、また、不正な支出をしにくくするためにも重要です。

【確認のために提出が必須である書類】
認定申請日の属する事業年度の直前の事業年度の集会(総会)において決議された管理組合の貸借対照表及び収支計算書(注1:注3)
新築等により、当該直前の事業年度がない場合には、申請日を含む事業年度における総会において決議された収支予算書(注2)

<チェックポイント!>
注1

貸借対照表及び収支計算書において、修繕積立金会計における支出の費目が、マンション標準管理規約(単棟型)第28条に定める経費に関する会計以外の会計へ充当されていないことを確認する

*第27条の管理費から充当するとしている経費が修繕積立金から支出されていないことを確認する

注2

収支予算書において同上の充当が予算化されていないことを確認する

注3

長期修繕計画上の修繕積立金よりも多く積み立てられ、余剰が発生している場合であっても、他の会計への充当(一時的な貸付等を含む)や区分所有者への還元(払い戻し)を行っている場合には、認定基準に適合しない

管理規約で「管理費が不足する場合、修繕積立金から一時的に立替ができる。」という記載があれば、認定基準に適合しない

参考

【マンション標準管理規約(単棟型)】

(修繕積立金)
第28条 管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。

一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕

二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕

三 敷地及び共用部分等の改良又は変更

四 建物の建替え、建物の更新、建物敷地売却、建物取壊し敷地売却又は取壊し(以下「マンション再生等」という。)に係る合意形成に必要となる事項の調査

五 修繕積立金の管理及び運用

六 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

参考

【マンション標準管理規約(単棟型)コメント】

第28条関係
 対象物件の経済的価値を適正に維持するためには、一定期間ごとに行う 計画的な維持修繕工事が重要であるので、修繕積立金を必ず積み立てるこ ととしたものである。

 分譲会社が分譲時において将来の計画修繕に要する経費に充当していく ため、一括して購入者より修繕積立基金として徴収している場合や、修繕 時に、既存の修繕積立金の額が修繕費用に不足すること等から、一時負担 金が区分所有者から徴収される場合があるが、これらについても修繕積立 金として積み立てられ、区分経理されるべきものである。

 修繕積立金を取り崩すことができる事由として第1項第一号から第三号 に掲げる「一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕」、「不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕」及び「敷地及び共用部分等の改良又 は変更」には、実際の工事費用のほか、工事に係る計画立案、工事履歴等 の調査、設計等の準備段階の費用も含まれる。

 第1項第五号に掲げる「修繕積立金の管理及び運用」に要する費用と は、修繕積立金を保管する銀行口座の残高証明書等の帳票発行手数料や、 住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」等の金融商品 を活用する際に必要となる保証料、修繕積立金を取り崩して実施した工事 に関する諸費用(印紙税、工事代金を支払った際の振込手数料等)等を想 定している。
 なお、修繕積立金の管理及び運用に要する費用については、修繕積立金 の取崩しの対象として規定せず、管理費から支出することもできる。

 ③ 直前の事業年度の終了の日時点における修繕積立金の3ケ月以上の延滞が全体の1割以内であること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「大規模修繕工事を実施するための多額の費用を、定期的に積み立てることで一時金負担を回避することが有効であるが、滞納金があることでこの目的が果たせない怖れがあるため、滞納額を把握することが重要である」ということだと思います。

なお、収支報告書には、滞納があっても収入があったように記載されますので、貸借対照表の未収入金と突き合わせて確認することが必要です。

【確認のために提出が必須である書類】
当該直前の事業年度の各月において組合員が滞納している修繕積立金の額を確認することができる書類(注1)
認定申請日の属する事業年度の直前の事業年度の集会(総会)において決議された管理組合の貸借対照表及び収支計算書(注1)
新築等により、当該直前の事業年度がない場合には、申請日を含む事業年度における総会において決議された収支予算書

<チェックポイント!>
注1

貸借対照表及び収支計算書では、直前の事業年度において組合員が滞納している修繕積立金の総額は確認できるものの、滞納月別の情報が掲載されていない場合も多いため、直近の月次報告書や各戸の収納状況が分かる書類等の提出を求める必要がある

なお、延滞総額が当該事業年度に徴収する予定額の総額の1割以内であれば、滞納月別の内訳の確認は不要

備考

【延滞率の計算】

直前の事業年度において滞納期間が3ヶ月以上の滞納が生じている修繕積立金の総額÷直前の事業年度において各戸から徴収すべき修繕積立金の総額×100=

*「直前の事業年度」がキーポイントです。数年前から滞納していても、ここでの計算で用いるのは、収支計算書に計上されている滞納総額のうち「直前の事業年度」の滞納額です。また、修繕積立金総額は「直近の事業年度」の修繕積立金の年間予算総額ですので間違わないようにしてください。

次回は、「(4)長期修繕計画の作成及び見直し等の認定基準」以降を見ていきます

管理計画認定制度に関するお問合せ先

マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会)

電話 03-5801-0858 月曜日~土曜日 午前10時~午後5時(祝日・年末年始除く)

管理計画認定基準の適合状況のチェック支援

京都市分譲マンション管理計画認定 事前チェックサービス(京安心すまいセンター)

電話 075-744-1670 午前9時~午後5時(水曜日・第3火曜日。祝日・年末年始除く)

第10回
ガイドラインを読み込もう
(認定事務・長期修繕計画作成・修繕積立金)(その3)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第10回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

ガイドラインを読み込もう
(認定事務・長期修繕計画作成・修繕積立金)(その3)

【おことわり】
 今回のテーマは、これまでのテーマの復習と具体的な認定基準を「マンション管理計画認定事務ガイドライン」に沿ってお話ししますので、管理計画認定制度を大まかに知ればいいという方は、次のテーマにお移りください。

 また、2027年(令和9年)4月に「マンション管理計画認定事務ガイドライン」の改正がありますが、本原稿は2026年7月時点の認定基準を記載していますので、ご注意ください。

(4)長期修繕計画の作成及び見直し等の認定基準

 ① 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金額について集会にて決議されていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「マンションの敷地、建物の共用部分及び附属施設については、法定点検等の保守点検や日常の補修のほか、経年劣化に対応して計画修繕工事を随時実施することが不可欠であり、そのために適切な長期修繕計画を作成し、これに基づいて修繕積立金の額を設定し、これらを区分所有者間で合意しておくことが重要である」ということだと思います。

【確認のために提出が必須である書類】
長期修繕計画の写し(注1)
当該長期修繕計画の作成又は変更を決議した集会(総会)の議事録の写し(注2)

<チェックポイント!>
注1

 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成されていることを確認する

 なお、長期修繕計画を「長期修繕計画作成ガイドライン」の長期修繕計画標準様式と同一の様式で作成していなくてもよく、長期修繕計画標準様式において示している考え方に基づいて長期修繕計画が作成されていれば、長期修繕計画標準様式に準拠しているとされる。

 具体的には、少なくとも、以下の①から⑩の内容が全て盛り込まれている必要がある。

 なお、前提条件として、「計画期間に見込まれる推定修繕工事費の累計額を修繕積立金の累計額(修繕積立基金、一時金、専用庭等の専用使用料及び駐車場等の使用料からの繰入れ並びに修繕積立金の運用益を含む。)が下回っていないこと」を確認する。

① 修繕工事の内容(19 工事項目※)※長期修繕計画標準様式第4-1号 長期修繕計画総括表の推定修繕工事項目の19 工事項目(以下「19工事項目」という)のこと
② 修繕工事の概算費用
③ 修繕工事のおおよその実施時期
④ 修繕積立金の月当たり㎡単価
⑤ 長期修繕計画書の計画期間が 30 年以上の設定期間であること
⑥ 申請日以降の残存期間において大規模修繕工事が2回以上含むこと
⑦ 計画期間当初における修繕積立金の残高
⑧ 計画期間全体で集める修繕積立金の総
⑨計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額
⑩(借入れがある場合)借入れの状況

  • 複数の工事項目が一つに纏められている場合は、内訳表などで19工事項目のどれが含まれているかを記載する必要がある
  • 長期修繕計画期間内に工事を予定していないので記載していない場合は、工事を予定していなくてよい理由の記載と当該工事を行うとした場合の予定時期及び推定修繕工事費の記載が必要である
  • 該当の設備がない場合はその旨の記載が必要である(工事項目の名称が19工事項目と異なる場合は、突合せ表を作るほうがよい)
  • 長期修繕計画の作成・変更費用が管理委託契約に含まれる場合は、その旨の記載が必要となる
  • ④「修繕積立金の月当たり㎡単価」は、修繕積立金の平均額ではなく、「毎月の修繕積立金総額を専有床面積で割ったもの」である
  • 長期修繕計画の記載内容から修繕積立金の算出根拠が確認でき、長期修繕計画全体として整合が図られていることを確認する
注2

長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金額について集会(総会)で決議されていることを確認する

その他

中項目の19項目が含まれていればよく、様式第4-3号 長期修繕計画表の小項目の全てが含まれている必要はありません

「長期修繕計画の記載内容から修繕積立金の算出根拠が確認できる」とは、長期修繕計画標準様式 様式第5号に準拠したものがあれば一番よいですが、少なくとも「④修繕積立金の月当たり㎡単価」の記載がある資料が必要です

 ② 長期修繕計画の作成又は見直しが7年以内に行われていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「長期修繕計画は、5年程度ごとに調査・診断を行い見直すことが重要である」ということだと思います。

【確認のために提出が必須である書類】
長期修繕計画の作成又は変更を決議した集会(総会)の議事録の写し(注1)
議事録などに署名(または電子署名)があることが必要です(注2)

<チェックポイント!>
注1

長期修繕計画の作成又は変更に係る集会(総会)の議決日が「認定申請日」以前7年以内であることを確認する

集会(総会)の議事録の写しにおいて、長期修繕計画の作成・変更が集会(総会)の議案として上程され、長期修繕計画の内容及び修繕積立金額について集会(議決)を経ていることを確認する

注2

押印については、令和3年9月1日までに開催された総会の議事録には押印が必要であるため、署名及び押印があることを確認する。令和3年9月1日以降に開催された集会(総会)の議事録については、管理規約で署名のみと規定されている場合は、署名のみなされていることを確認する

議事録が電磁的記録で作成されている場合、電子署名があることを確認する

その他

「認定申請日」であって、「事前確認の申請の日」ではないことに注意する

 ③ 長期修繕計画の実行性を確保するため、計画期間が30年以上で、かつ、残存期間内大規模修繕工事が2回以上含まれるように設定されていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「大規模修繕工事は概ね12~15年周期で行われることから、大規模修繕工事が2回計画できる30年以上の計画期間が必要である」ということだと思います。

【確認のために提出が必須である書類】
長期修繕計画の写し(注1)

 「申請するマンションにおける防災に関する方針を記載した書類の作成と区分所有者等への周知方法」が令和9年4月の管理計画仁清制度の認知基準の改正で盛り込まれますので、対応が必要となります。

 また、自治会及び町内会等(以下「自治会」という。)との関わり方について、次のとおり述べています。

<チェックポイント!>
注1

長期修繕計画の計画期間が 30 年以上であることを確認する

「認定申請日」時点において、長期修繕計画に記載された大規模修繕工事の予定時期が当該計画期間の終了の日までに2回以上含まれていることを確認する(補足説明参照)

修繕工事の内容が大規模修繕工事(備考)に該当することを確認する

備考

大規模修繕工事:マンションの建物の外壁について行う修繕又は模様替えを含む大規模な工事

なお、建替えや再開発、定期借地権の期間満了に伴いマンションの除去等が予定されている場合には、予定時期が議決された集会(総会)の議事録の写しや長期修繕計画の写し等の提出書類で除去予定時期を確認します。

補足説明:
 単に「30年間で2回の大規模修繕工事」が含まれているのではなく、「認定申請日以降の計画期間内に2回の大規模修繕工事」が含まれている必要があります。

なお、「認定申請時」現在で大規模修繕工事を実施中の場合は、2回のうちにカウントされますが、工事が終了していればカウントされません。
 ですので、工事終了後に長期修繕計画を見直すことが必要になってきます

長期修繕計画に係る各認定基準と期間のイメージ図

 ④ 長期修繕計画において将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと

 この項目が「認定基準」になっているのは、「大規模修繕工事を実施するためには、多額の費用が必要であるが、定期的に積み立てることで一時金負担を回避することが有効であるから、一時金の徴収は行わないことが重要である」ということだと思います。また、実際に工事を実施するときに一時金を徴収することの合意形成が難しいことや一時金の支払いができない方がいる場合に、資金不足が発生する可能性も考えられます。

【確認のために提出が必須である書類】
長期修繕計画の写し(注1)

<チェックポイント!>
注1

「将来の一時的な修繕積立金の徴収」とは、下記①及び②のいずれにも該当する修繕積立金の徴収であり、これに該当する修繕積立金の徴収が長期修繕計画において予定されていないことを確認する。

① 大規模修繕工事を開始する事業年度の前々年度の開始日から、工事を完了した事業年度の翌々年度の終了日までの修繕積立金総額の増額幅が2倍以上となっていること

② ①の増額期間が大規模修繕工事の開始の前々年度以降から工事完了の翌々年度以前までに限ったものであること

確認方法

①の例1:
大規模修繕工事実施予定時期 30期~31期の場合、開始する事業年度の前々年度は28期、完了した事業年度の翌々年度は33期となる。
 この場合は、28期~33期の6事業年度内の各事業年度の年間修繕積立金徴収額(総額)が27期の年間修繕積立金徴収額(総額)の2倍以上になっていないことを確認する

①の例2:
大規模修繕工事実施予定時期 30期の場合、開始する事業年度の前々年度は28期、完了した事業年度の翌々年度は32期となる。
 この場合は、28期~32期の5事業年度内の各事業年度の年間修繕積立金徴収額(総額)が27期の年間修繕積立金徴収額(総額)の2倍以上になっていないことを確認する

②の例:
例1、例2の場合であって、完了した事業年度の翌々年度以降も増額した修繕積立金を徴収することを確認する

この場合は、この認定基準に適合する

 ⑤ 長期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと

 この項目が「認定基準」になっているのは、「大規模修繕工事を実施するためには、多額の費用が必要であり、定期的に積み立てることが重要であるが、工事費用に見合ったものでなければならない」ということだと思います。

【確認のために提出が必須である書類】
長期修繕計画の写し(注1)

<チェックポイント!>
注1

計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で示す金額の目安を設定する際に参考とした事例の3分の2が包含される幅の下限値を上回っていること

平均額=

(計画期間当初における修繕積立金の残高+計画期間全体で集める修繕積立金の総額+計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額)÷マンションの総専有床面積÷長期修繕計画の計画期間月数

月額の専有面積当たりの修繕積立金額下限値

下限値 235円 170円 200円 190円 240円
延床面積 5000㎡未満 ~10,000㎡未満 ~20,000㎡未満 20,000㎡以上 地上
20階以上
地上階数 地上20階未満

機械式駐車場がある場合には、上図に示す修繕積立金の平均額の目安に、機種や設置台数に応じて、1台当たりの月額の修繕工事費から算出される単価を加算する必要がある。

加算する額=①に該当する②機械式修繕工事費×機械式駐車場の台数÷マンションの総専有床面積(㎡)

①機械式駐車場の機種 ②機械式駐車場の修繕工事費
(1台当たり月額)
2 段(ピット 1 段)昇降式 6,450 円/台・月
3 段(ピット 2 段)昇降式 5,840 円/台・月
3 段(ピット 1 段)昇降横行式 7,210 円/台・月
4 段(ピット 2 段)昇降横行式 6,235 円/台・月
エレベーター方式・垂直循環方式 4,645 円/台・月
その他 5,235 円/台・月

 具体的な計算例でみていきましょう。

① 建物の階数・住棟形式:地上 10 階建

② 単棟型建築延床面積:7,000 ㎡

③ マンションの総専有床面積:4,900 ㎡(戸当たり 70 ㎡、住戸数 70戸)

④ 長期修繕計画の計画期間:30 年

⑤ 計画期間当初における修繕積立金の残高:7,000 万円

⑥ 計画期間全体で集める修繕積立金の総額:2億 6,460 万円

⑦ 計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額:9,000 万円

⑧ 機械式駐車場(3段(ピット2段)昇降式)30 台

「計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額」の計算

(⑤7,000 万円+⑥2億 6,460 万円+⑦9,000 万円=424,600,000円)

÷③4,900 ㎡÷④360(30 年)=240.70≒241円(イ)

 使用する「下限値」


②7,000 ㎡に該当する「下限値」=170円(5,000 ㎡以上10,000 ㎡未満)

下限値 235円 170円 200円 190円 240円
建物延床面積 5000㎡未満 ~10,000㎡未満 ~20,000㎡未満 20,000㎡以上 地上
20階以上
地上階数 地上20階未満

ただし、機械式駐車場がある場合は、次の計算式で算出された額を加えた下限値以上で計画する必要があります。

加算する額=①に該当する②機械式修繕工事費×機械式駐車場の台数÷マンションの総専有床面積(㎡)

①機械式駐車場の機種 ②機械式駐車場の修繕工事費
(1台当たり月額)
2 段(ピット 1 段)昇降式 6,450 円/台・月
3 段(ピット 2 段)昇降式 5,840 円/台・月
3 段(ピット 1 段)昇降横行式 7,210 円/台・月
4 段(ピット 2 段)昇降横行式 6,235 円/台・月
エレベーター方式・垂直循環方式 4,645 円/台・月
その他 5,235 円/台・月

  加算後の下限値は、②7,000 ㎡に該当する「下限値」=170円+⑧(5,840円×30台

  ÷③4,900 ㎡=35.75≒36円)=206円(ロ)

  (イ)241円>(ロ)206円となり、下限値を上回っています。

なお、この下限値を下回る場合は、専門家からの修繕積立金の平均額が著しく低額でない特段の理由がある旨の理由書が必要です。

専門家:マンション管理士、一級建築士、二級建築士、木造建築士、建築基準適合判定資格者

 ⑥ 長期修繕計画の計画期間の最終年度において、借入金の残高のない長期修繕計画となっていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「大規模修繕工事を実施するためには、多額の費用が必要であり、定期的に積み立てることが重要であるが、工事費用も足らない分は一一時金ではなく借入金で賄ってもよいが、最終年度には完済することが重要である」ということだと思います。また、完済できなければ、次の長期修繕計画において、借入金が雪だるま式に増えて行き、計画が破綻する可能性も出てきます。

【確認のために提出が必須である書類】
長期修繕計画の写し(注1)

<チェックポイント!>
注1

長期修繕計画において、最終年度に借入金の返済が終了している計画となっていることを確認する

ただし、実際に計画期間中に借入金が返済される見通しが立っていることについて、返済計画や残高表等による確認までは行わない

(5)その他

 ① 管理組合がマンションの区分所有者等への平常時における連絡に加え、災害等の緊急時に迅速な対応を行うため、組合員名簿、居住者名簿を備えているとともに、一年に一回以上は内容の確認を行っていること

 この項目が「認定基準」になっているのは、「大規模災害等が発生したときに、組合員名簿や居住者名簿が無ければ安否確認などの必要な対応ができないこと、所有者が所在不明等で、その専有部分又は専用使用部分が他の専有部分や共用部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与える状態のまま放置しておくと管理不全に繋がる恐れがある」ことだと思います。

 実際に被害を受けた場合に、所在不明者が多数になると総会の決議要件を満たすことができずに復旧における意思決定ができなくなることが考えられます。

【確認のために提出が必須である書類】
表明保証書の写し(注1)

<チェックポイント!>
注1

提出された「表明保証書」が記載通りであることを確認する

なお、組合員名簿(区分所有者名簿)と居住者名簿のどちらか一方だけでは不適合となる

宛名は、申請する自治体の長(市なら〇〇市長殿)

備考

表明保証書のイメージ図

 ② 都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること

【確認のために提出が必須である書類】
計画作成都道府県知事等が必要と認めるもの(注1)

<チェックポイント!>
注1

都道府県等マンション管理適正化指針において示された基準に合致しているかを確認する

 つぎに認定を受けたときは「認定コード」が付与されること、マンション管理センターのHPで公開されることなどが、書かれています。

「認定の更新手続き」は、認定有効期間の満了日前6か月以内に行うこと、「変更認定申請の手続き」として、次のことが書かれています。

変更認定
手続き

理者等は、認定を受けた管理計画の変更(改正マン管法施行規第1条の9で定める軽微な変更)を除く。)をしようとするときは、変更認定申請書及び当初の管理計画の認定申請書に添付した添付書類のうち変更に係るものを計画作成都道府県知事等に提出し、変更の認定を受けなければならない(注1)

注1

改正マンション管理適正法施行規則
(法第5条の7第1項の国土交通省令で定める軽微な変更)

 第1条の15
 法第5条の17第1項の国土交通省令で定める軽微な変更は、次に掲げるものとする。

1 長期修繕計画の変更であって、次に掲げるもの

イ マンションの修繕の内容又は実施時期の変更であって、計画期間又は修繕資金計画(長期修繕計画に定められたマンションの修繕の実施に必要な資金の総額、内訳及び調達方法を記載した資金計画をいう。ロにおいて同じ。)の変更を伴わないもの

ロ 修繕資金計画の変更であっ17、マンションの修繕の実施に支障を及ぼすおそれのないもの

2 二以上の管理者等を置く管理組合にあっては、その一部の管理者等の変更(第5条の14の認定(第5条の17第1項の変更の認定を含む。)又は第5条の16第1項の認定の更新があった際に管理者等であった者の全てが管理者等でなくなる場合を除く。)

3 監事の変更

4 規約の変更であって、監事の職務及び第1条の11第4号に掲げる事項の変更を伴わないもの

 注1にある「軽微な変更」以外は「変更認定申請の手続き」が必要となります。

ここで注目していただきたいのは、「2 二以上の管理者等を置く管理組合にあっては、その一部の管理者等の変更」という箇所です。

要は、「管理者等が一人の場合で、管理者等が変更されたら変更認定申請が必要」と言っています。大抵の管理組合は、一年で理事長が交代しますので、毎年、「変更認定申請の手続き」が必要となります。

次に、行政による報告の徴収・改善命令・認定の取消しについて書かれています。

報告の徴収

計画作成都道府県知事等は、認定を受けたマンションの管理者等に対し、マンションの管理の状況について報告を求めることができる

改善命令

計画作成都道府県知事等は、認定を受けたマンションの管理者等が認定管理計画に従って当該マンションの管理を行っていないと認めるときは、当該管理者等に対し、相当の期限を定めて、その改善に必要な措置を命令することができる

認定の取消し

計画作成都道府県知事等は、以下に掲げる場合には、認定を取り消すことができる

1.認定を受けたマンションの管理者等が計画作成都道府県知事等による改善命令に違反したとき。

2.認定を受けたマンションの管理者等から認定を受けた管理計画に基づくマンションの管理を取りやめる旨の申出があったとき。

3.認定を受けたマンションの管理者等が不正の手段により認定を受けたとき。

 法律で認定されるのですから、上記は当然でしょう。

(5)マンション長寿命化促進税制

 こちらについては、本シリーズ「~「マンション長寿命化促進税制」とはなにか?~」で解説していますので、そちらをお読みください。

次回は、最後のテーマである「結局、管理組合は何をすればよいのだろうか」を考えていきます。

管理計画認定制度に関するお問合せ先

マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会)

電話 03-5801-0858 月曜日~土曜日 午前10時~午後5時(祝日・年末年始除く)

管理計画認定基準の適合状況のチェック支援

京都市分譲マンション管理計画認定 事前チェックサービス(京安心すまいセンター)

電話 075-744-1670 午前9時~午後5時(水曜日・第3火曜日。祝日・年末年始除く)



結局、管理組合は何をすればよいのだろうか

第11回
結局、管理組合は何をすればよいのだろうか(その1)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第11回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

結局、管理組合は何をすればよいのだろうか(その1)

今回から、最後のテーマになりました。管理組合がどのように対応すればよいのかを考えたいと思います。

第1回目で、管理計画認定を受けるメリットを

1. マンション管理の適正化:認定制度を申請するにあたり、今の管理状況を見直す必要があり、このことが区分所有者全員の管理に対する意識改革のきっかけになる

2. マンション市場における適切な評価:マンションの資産価値が上がることによる流通価格(売却価格)の上昇が見込まれる

3. 認定マンションに関する金融支援:住宅金融支援機構の借入金利の引き下げや「マンションすまい・る債」の金利優遇がある

4. 固定資産税の減額:認定を受けたマンションが一定の要件を満たす場合に、マンション長寿命化促進税制による固定資産税の減免が受けられる。

とお話ししました。

このうちの1~3つのメリットによって、「選ばれるマンションのスパイラル」が実現できます。

長期修繕計画に係る各認定基準と期間のイメージ図

 「選ばれるマンションのスパイラル」の中でもっとも大きなメリットは、「売れやすい(換金性が高い)マンション」になるということです。

 「売れやすいマンション」とはどういうことでしょうか。

 外壁が欠落している、階段が錆びだらけであれば、いくら安くても買いたいと思う人は少ないでしょう。

 「売れやすいマンション」は、駅近で、買い物に便利で、入れたい小学校・中学校が近くにある、という住環境にあるものです。

 こういう住環境にあるマンションは比較的スムーズに売れますが、そうでないマンションは「住みたい」と思ってもらわなければ売れません。

 「住みたい」と思ってもらえるマンションの条件の一つに「管理計画認定マンション」が当てはまると思います(思いたい・・)。

 これが、最大のメリットだと思いますが、「買いたいと思ってもらえるマンションのリストに入れもらう」ことが必要だと思わないなら、当面は静観していればよいと思います。

静観していてよい理由

 これまで「管理計画認定基準」をみてきて気づかれたと思いますが、例えば、「修繕積立金の平均額」がクリアーしていても、「均等積立方式」でなく「段階増額積立方式」になっていると何年か後に値上げがあります。

 「管理計画認定制度のガイドライン」が発表されたときは、「修繕積立金の平均額」を下限額以上に値上げすることが最もハードルが高い認定基準だと、誰しもが思いました。

 しかし、修繕積立金の積立方式が「段階増額積立方式」も認められたことから、例えば、『最初の数年間は現状の修繕積立金額の値上げはしないで、数年後毎に何回か値上げをして、30年間で修繕積立金の下限額を上回る』ようにしておけば、改正の総会時には修繕積立金月額は変わらないので、比較的スムーズに総会決議が取れます。

 次に、「管理規約」も標準管理規約に準拠して改正することもハードルが高いと思われていましたが、「認定基準」は3項目だけになったので、『その部分だけクリアーしてその他は今の標準管理規約とは異なって』いても認定されます。

 また、たとえ『予定工事項目の見積金額がいい加減』であっても、見積金額の精査は認定基準には入っていません。

 これらのことは、マンション管理センターのHPの「管理計画認定マンションのリスト」を見ても分かりません。

 したがって、「管理計画認定マンションのリスト」に載っているマンションが、『どのような管理状況で認定を受けたのかが分からない』のなら、「管理計画認定マンション」の価値はかなり下がると思います。

 今は、認定マンションを増やしたいから、こうした認定基準になっていますが、今後は認定基準が厳格化していくこで「管理計画認定マンション」の価値が上がりますので、それまで待っていてもよいと思います。

 新築マンションの「予備認定」も同じようなことが言えますので、「予備認定マンション」は「管理がいいマンション」とは限らないことに気を付ける必要があります。

 特に、新築マンションのほとんどが、修繕積立金の積立方式を「段階増額積立方式」としていますので、「予備認定」を受けた新築マンションもほとんどが同じ状況です。

 したがって、「予備認定」が管理の優良なマンションとは言えませんが、こうした状況においても「予備認定」に合格しないマンションは、避けたほうがよいと思います。

 さて、ただ待っていてもマンションを取り巻く状況が良くなりませんので、待っている間にやっていただきたいことをお伝えします。

1.自分たちのマンションの将来像をみんなで話し合う機会を作る

 さきほども、書きましたが「売れやすいマンション」にしたいのか、したくないのかを話し合いましょう。

 「したくない」という人などいない。本当ですか。「売れやすいマンション」にするために修繕積立金や管理費の値上げがあるなら、今のままでいい、という人は多いと思います。「このマンションを相続する子供もいない」という人にとっては、自分が死んだあとのことなど関係ないと思っています。

 こうした人たちと、何とか「売れやすいマンション」にするために管理状況を改善しようと思う人が混じっていたら、何も話が進みません。

 次に、どうなっていれば「売れやすいマンション」になるのかを話し合いましょう。

 先程、「売れやすいマンション」は、「駅近で、買い物に便利で、入れたい小学校・中学校が近くにある」という住環境にあると言いましたが、マンションを駅の近くや学校の近くに移動させることはできません。マンションの一階をスーパーに改装することはやってやれないことはないでしょうが、現実的には不可能です。

 では、どうすればいいのでしょうか。

 「外壁が欠落している、階段が錆びだらけであれば、いくら安くても買いたいと思う人は少ないでしょう。」と書きました。

 それならば、例えば「外壁がきれいで、階段も手すりもきれいに塗装されていて、玄関アプローチがピカピカに磨かれている。エントランスに絵画が飾られ、マンションの周りの植栽もきれいに剪定されている。不法駐輪や不法駐車もない。廊下にゴミ一つも落ちていないし、照明にクモの巣が張っていない。」これなら、住みたいな、と思いませんか。

 今、お住まいのマンションを買われるときに何を思って買われましたか。

 新築マンションの場合は、「モデルルームを見て、こんな生活したい!」、エントランスがまだできていないので、「パンフレットを見て、こんなマンションに住みたい!」と、思ったのではありませんか。

 新築でない場合は、見に行ったマンションのエントランスや外壁、手すり、廊下、駐車場などを見て「これなら、いいかな」と思われたのではないでしょうか。

 購入する部屋だけで決めましたか?

 購入する部屋はリフォームできます。でも、共用部分は自分ではリフォームできません。自分でリフォームできない場所が自分の気に入ったようになっている、それが、

 共用部分の見た目が第一!

 これが「売れやすいマンション」ではないでしょうか。

 こうしたマンションにするために何をすればよいのでしょうか。

 一戸建てなら、家の前の道路を清掃することはあたり前でしょう。でも、自分の部屋の前の廊下を清掃することをやっていますか。管理会社に管理費を払っているのだから、管理会社の社員が清掃するのがあたり前と思っていませんか。ゴミがあれば拾う、廊下を掃く。廊下の手すりを拭く。玄関アプローチ、マンションの外構周り、駐車場などなどをみんなで清掃する。

 管理会社がする仕事だから、管理会社の社員がすればいい。でも、社員からすると、自分が住んでいないマンションの清掃はマニュアル通りにすればそれでいい。住んでいるマンションへの愛着はどちらがあると思いますか。

 こうしたことから始めて、そして、自分たちのマンションの将来像をみんなで話し合う機会を作り、合意できる範囲を広げる努力をしましょう。

2.大規模修繕計画をしっかりと作る

 「共用部分の見た目が第一!」ですが、そのために必要なことは、「長期修繕計画標準様式・作成ガイドライン・同コメント(以下、「長期修繕計画作成ガイドライン」といいます)」(国土交通省作成)をベースに作成するということになります。

 「長期修繕計画」を作成する際は、管理会社や建築士等の建築の専門家に委託しますが、それをチェックするのは、管理組合の理事会あるいは修繕委員会等の専門委員会のメンバーで、たいていは、専門家対素人です。

 素人が、専門家に立ち向かうにはそれなりの武器がいります。それが、「長期修繕計画作成ガイドライン」です。

 この「長期修繕計画作成ガイドライン」の「標準様式」として示されている「様式1~5」を手元に置いて、『なんで、この項目はガイドラインと違うのか』、『なんで、この項目がないのか』など、突き合わせて質問します

 専門家は嫌な顔をしますが、たいていはきちんと答えてくれます。「素人がなにを言う」という態度できちんと答えてくれないなら、その方に依頼するのは止めた方がいいでしょう。絶対にうまくいきません。「でも、言いにくい」という場合は、マンション管理士の出番です。マンション管理士はきちんと聞き出してくれます。もっとも、マンション管理士に「素人がなにを言う」という態度が見えたら、こういうマンション管理士に依頼をするのはやめましょう。これも絶対にうまくいきません。

3.居住者名簿を作る

 なぜ、必要でしょうか。「災害時に必要だから」。正解ですが、それだけではありません。

 「区分所有者名簿や居住者名簿」は、管理規約で規定しておけば購入時や入居時に届出してもらえます。でも、区分所有者はその後、届出がなくても最悪は、登記簿謄本で確認できますが、賃貸の方は分かりません。

 「居住者名簿」が整備できているマンションは、普段からコミュニケーションが図れているマンションといえます。

 そのために、「居住者名簿」が作成できるようになっていく必要があります。

 少し後ろ向きのお話しをしましたが、それでは「管理計画認定制度」の認定を受けたい管理組合はどうすればよいかを考えていきます。

 理事会で管理計画認定を受けたいと思ったら、まず初めにやって欲しいことは、「なぜ、管理計画認定を受けたいのか」を理事の皆さんで話し合っていただきたいということです。

 「こんな制度ができたので、受けませんか」と管理会社から言われた。「ネットや新聞、雑誌でこんな制度ができたことを知ったので受けたい」と思った。

 認定を受けてどうするのですか?

 いままでお話ししてきたとおり、認定を受けたら国が求めている基準はクリアーします。

 でも、クリアーしたら管理状況が良くなるのですか。

 認定基準をクリアーしようと思えば、なんとでもなります。管理規約を標準管理規約に合わせればクリアーします。

 長期修繕計画も標準書式の総括表に合わせればクリアーします。

 しかし、そのようなことをして管理計画の認定を受けても数年後に値上げができるか不明ですので、問題の先送りにしかすぎません。

 必要なことは、住んでいるマンションの将来をどうするのか、を考えることです。

 子供たちが相続した際に、売れない「負動産」にしないようにする。「売れるマンション」にしていく。また、子供たちがそのまま住み続けたいと思うマンションにしていく。

 そのためには、何をすればよいのかをみんなで考え、話し合う。住民間のコミュニケーションが活発にできるマンションになることが必要です。

 そのきっかけに「管理計画認定制度」を利用することが、管理組合が行うことだと思います。

 それでも、「管理計画認定制度」の認定を受けたいというマンションはどうすればいいのか。

次回は、その対策をお伝えします。

管理計画認定制度に関するお問合せ先

マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会)

電話 03-5801-0858 月曜日~土曜日 午前10時~午後5時(祝日・年末年始除く)

管理計画認定基準の適合状況のチェック支援

京都市分譲マンション管理計画認定 事前チェックサービス(京安心すまいセンター)

電話 075-744-1670 午前9時~午後5時(水曜日・第3火曜日。祝日・年末年始除く)

第12回
結局、管理組合は何をすればよいのだろうか(その2)

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


第12回

シリーズ「マンション管理計画認定制度
~管理組合は何をすればよいのか~」

結局、管理組合は何をすればよいのだろうか(その2)

 最終回となりました。長々とお付き合い、ありがとうございました。

 それでは、「管理計画認定制度」の認定を受けるための準備作業をお伝えします。

1.必要な書類は次のとおりです。

管理規約、総会議事録、理事会議事録、長期修繕計画書、貸借対照表、収支計算書、月別の修繕積立金納付状況が分かる資料、区分所有者名簿・居住者名簿

 ありますか?

 一つずつ、確認していきましょう。

【管理規約に関すること】

 管理規約はあって当然ですが、きちんと整理されていますか。改正しても、「新旧対照表が添付されているだけ」あるいは、総会議事録に記載されているだけではありませんか。

 管理計画認定制度を申請するには、「現に有効な管理規約の全体版」が推奨されていますので、まずは管理規約の整理から始めましょう。

  *「現に有効な管理規約の全体版」がなくても申請は出来ますが、これすら作れない管理組合が「管理が優良な管理組合」とはいえないと思います。

 これは結構、ハードルが高い仕事です。管理会社に頼んでもなかなか進みませんが、理事会で行えば、やりがいのある仕事となりますので是非、やってみてください。

 用意するものは、お住まいのマンションの「管理規約」です。

 次の確認項目と備考を照らし合わせていきましょう。備考の項目に合っていましたか。合っていないなら改訂しましょう。

確認1 現在有効な管理規約全体版(改正箇所を網羅したもの)であること
備考 *改正の新旧対照表が添付されているだけではダメです。
*管理会社任せでは、全体版になっていないケースが多い
確認2

管理規約に災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部分の立ち入りについての規定(マンション標準管理規約(単棟型)第23条に相当する規定)があることを確認する。

管理規約に修繕等の履歴情報の管理等についての規定(マンション標準管理規約(単棟型)第32条第6号に相当する規定)があることを確認する

備考

【マンション標準管理規約(単棟型)】

(必要箇所への立入り等)

第23条 前2条により管理を行う者は、管理を行うために必要な範囲内において、他の者が管理する専有部分若しくは専用使用部分への立入り又は自らこれに保存行為を実施することを請求することができる。

2 前項により立入り又は保存行為の実施を請求された者は、正当な理由がなければこれを拒否してはならない。

3 前項の場合において、正当な理由なく立入り又は保存行為の実施を拒否した者は、その結果生じた損害を賠償しなければならない。

4 前3項の規定にかかわらず、理事長は、災害、事故等が発生した場合であって、緊急に他の者が管理する専有部分又は専用使用部分への立入り又は保存行為の実施をしなければ、共用部分等又は他の専有部分に対して物理的に又は機能上重大な影響を与えるおそれがあるときは、自らその専有部分又は専用使用部分に立ち入り、又は保存行為を実施することができる。この場合において、理事長は、委任した者にこれを行わせることもできる。

5 立入りをした者は、速やかに立入りをした箇所を原状に復さなければならない。

(業務)

第32条 管理組合は、建物並びにその敷地及び附属施設の管理のため、次の各号に掲げる業務を行う。

   一~五 略

   六 修繕等の履歴情報の整理及び管理等

   七~十五 略(必要箇所への立入り)

確認3

マンション標準管理規約(単棟型)第64条第3項に相当する規定があること

備考

【マンション標準管理規約(単棟型)】

(帳票類等の作成、保管)

(ア)電磁的方法が利用可能ではない場合

第64条
第3項 理事長は、第49条第3項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、第49条の2第(第53条第5項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。

*( )内は、電磁的方法が利用可能な場合に付加されている

(イ)電磁的方法が利用可能な場合

第64条
第3項 理事長は、第49条第5項(第53条第4項において準用される場合を含む。)、第49条の2第1項(第53条第5項において準用される場合を含む。)、本条第1項及び第2項並びに第72条第2項及び第4項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報については、組合員又は利害関係人の理由を付した書面又は電磁的方法による請求に基づき、当該請求をした者が求める情報を記入した書面を交付し、又は当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、理事長は、交付の相手方にその費用を負担させることができる。

確認4

マンション標準管理規約(単棟型)第28条に相当する規定があること

備考

【マンション標準管理規約(単棟型)】

(修繕積立金)

第28条
管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる。

一 一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕

二 不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕

三 敷地及び共用部分等の改良又は変更

四 建物の建替え、建物の更新、建物敷地売却、建物取壊し敷地売却又は取壊し(以下「マンション再生等」という。)に係る合意形成に必要となる事項の調査

五 修繕積立金の管理及び運用

六 その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理

1~4 略

5 修繕積立金については、管理費とは区分して経理しなければならない。

 【議事録に関すること】

 「管理規約」の規定と「総会議事録」・「理事会議事録」の記載内容が合っていますか。

 議事録で注意してほしいことは、管理規約で「理事長等を理事会で選任する」と書いてあるにもかかわらず、総会で選任しているケースが多いので、そうなっている場合は、理事会議事録で「理事の役職については、総会決議のとおりとすることとした。」と記載しておいてください。

 また、監事は管理規約どおりになっていますか。これが「管理計画認定制度」の認定基準の肝ですので、ちゃんとしておきましょう。

注1

管理者等・監事を選任することを決議したことが分かる議事録の写しであること

備考

管理規約で「理事の役職分掌については理事会で決する」などの定めがある場合でも、総会で決議しているだけの場合もあります

この場合は、理事会の議事録で「総会で決議したとおり、だれだれを理事長と選任した」という理事会議事録を作る必要があります

なお、監事は総会で選任するのが原則ですので、「理事の役職分掌のときに、じゃんけんで決めるのはなし」ですから注意してください

 【貸借対照表・収支計算書・月別の修繕積立金納付状況が分かる資料に関すること】

 管理費と修繕積立金の「区分経理」も、「管理計画認定制度」の認定規準の肝ですので、これができていないと、問題外です。

 ここで注意してほしいのが、修繕積立金を多く積み立てていて長期修繕計画の費用をオーバーするので、還付しようとするケースは、この項目をクリアしないので、その場合は還付しないで、今後の修繕積立金額を減額してください。

 次に、滞納額の計算では、「直前の事業年度」がキーポイントです。つまり、長年滞納していても、「直近の事業年度」に滞納がなければいいことになりますので、滞納金の内入れを「直近の事業年度」分にすればこの項目をクリアすることができる場合があります。(滞納金の充当については、基本的に古いものから充当することになります。なぜなら、時効に係る可能性があるからです。)

しかし、こうした操作は修繕積立金会計の健全性に反することになりますので、やってはいけませんし、こうしたことを提案するマンション管理士などは信用してはいけません。

確認1

貸借対照表及び収支計算書において、修繕積立金会計における支出の費目が、マンション標準管理規約(単棟型)第28条に定める経費に関する会計以外の会計へ充当されていないこと

確認2

収支予算書において同上の充当が予算化されていないことを確認する

確認3

長期修繕計画上の修繕積立金よりも多く積み立てられ、余剰が発生している場合であっても、他の会計への充当(一時的な貸付等を含む)や区分所有者への還元(払い戻し)を行っている場合には、認定基準に適合しない

管理規約で「管理費が不足する場合、修繕積立金から一時的に立替ができる。」という記載があれば、認定基準に適合しない

備考

【マンション標準管理規約(単棟型)】

(修繕積立金)
第28条 は、3ページ参照

確認4

【延滞率の計算】

直前の事業年度において滞納期間が3ヶ月以上の滞納が生じている修繕積立金の総額÷直前の事業年度において各戸から徴収すべき修繕積立金の総額×100=(直前の事業年度の支払い期限から)3ヶ月以上の滞納が生じている修繕積立金の総額÷(直前の事業年度の)各戸から徴収すべき修繕積立金の総額×100=が1割以内であること

なお、延滞総額が当該事業年度に徴収する予定額の総額の1割以内であれば、滞納月別の内訳の確認は不要

【長期計画書に関すること】

 「長期修繕計画作成ガイドライン」の「標準様式」を用意しましょう。「様式1~5」を手元に置いて、皆さんのマンションの「長期修繕計画書」と見比べましょう。

 *「標準様式」は、国土交通省のHPに掲載されています。

 なんで、この項目はガイドラインと違うのか、なんで、この項目がないのか。などを皆さんで話し合いましょう。

 疑問点を、長期修繕計画を作成した管理会社や一級建築士等に尋ねましょう。大抵は、きちんと答えてくれます。答えてくれないなら、管理会社等を変更する時期かもしれません。

 管理会社の説明が分からないこともあると思います。そうした場合は、マンション管理士を活用することを検討してください。

 マンション管理士会の解説集なので、マンション管理士を使うことを推奨していると感じられたかもしれませんが、マンション管理士はあくまでも、管理組合に寄り添ってアドバイスする存在だということをお伝えしたいだけです。

確認1

長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成されていることを確認する

なお、長期修繕計画を「長期修繕計画作成ガイドライン」の長期修繕計画標準様式と同一の様式で作成していなくてもよく、長期修繕計画標準様式において示している考え方に基づいて長期修繕計画が作成されていれば、長期修繕計画標準様式に準拠しているとされる。

具体的には、少なくとも、以下の①から⑩の内容が全て盛り込まれている必要がある。

なお、前提条件として、「計画期間に見込まれる推定修繕工事費の累計額を修繕積立金の累計額(修繕積立基金、一時金、専用庭等の専用使用料及び駐車場等の使用料からの繰入れ並びに修繕積立金の運用益を含む。)が下回っていないこと」を確認する。

①修繕工事の内容(19 工事項目※)
※長期修繕計画標準様式第4-1号 長期修繕計画総括表の推定修繕工事項目の19 工事項目(以下「19工事項目」という)のこと

②修繕工事の概算費用

③修繕工事のおおよその実施時期

④修繕積立金の月当たり㎡単価

⑤長期修繕計画書の計画期間が 30 年以上の設定期間であること

⑥申請日以降の残存期間において大規模修繕工事が2回以上含むこと

⑦計画期間当初における修繕積立金の残高

⑧計画期間全体で集める修繕積立金の総額

⑨計画期間全体における専用使用料等からの繰入額の総額

⑩(借入れがある場合)借入れの状況

・複数の工事項目が一つに纏められている場合は、内訳表などで19工事項目のどれが含まれているかを記載する必要がある

・長期修繕計画期間内に工事を予定していないので記載していない場合は、工事を予定していなくてよい理由の記載と当該工事を行うとした場合の予定時期及び推定修繕工事費の記載が必要である

・該当の設備がない場合はその旨の記載が必要である(工事項目の名称が19工事項目と異なる場合は、突合せ表を作るほうがよい)

・長期修繕計画の作成・変更費用が管理委託契約に含まれる場合は、その旨の記載が必要となる

・④「修繕積立金の月当たり㎡単価」は、修繕積立金の平均額ではなく、「毎月の修繕積立金総額を専有床面積で割ったもの」である

・長期修繕計画の記載内容から修繕積立金の算出根拠が確認でき、長期修繕計画全体として整合が図られていることを確認する

確認2

長期修繕計画の作成又は変更に係る集会(総会)の議決日が認定申請日以前7年以内であることを確認する

確認3

長期修繕計画の計画期間が 30 年以上であることを確認する

認定申請日時点において、長期修繕計画に記載された大規模修繕工事の予定時期が当該計画期間の終了の日までに2回以上含まれていることを確認する

修繕工事の内容が大マンションの建物の外壁について行う修繕又は模様替えを含む大規模な工事に該当することを確認する

確認4

「将来の一時的な修繕積立金の徴収」とは、下記①及び②のいずれにも該当する修繕積立金の徴収であり、これに該当する修繕積立金の徴収が長期修繕計画において予定されていないことを確認する。

① 大規模修繕工事を開始する事業年度の前々年度の開始日から、工事を完了した事業年度の翌々年度の終了日までの修繕積立金総額の増額幅が2倍以上となっていること

② ①の増額期間が大規模修繕工事の開始の前々年度以降から工事完了の翌々年度以前までに限ったものであること

確認5

計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で示す金額の目安を設定する際に参考とした事例の3分の2が包含される幅の下限値を上回っていること

下限値 235円 170円 200円 190円 240円
延床面積 5000㎡未満 ~10,000㎡未満 ~20,000㎡未満 20,000㎡以上 地上
20階以上
地上階数 地上20階未満

具体的な計算方法は、第10回に記載していますので、参照してください。

確認6

長期修繕計画において、最終年度に借入金の返済が終了している計画となっていること

 前回も書きましたが、『最初の数年間は現状の修繕積立金額の値上げはしないで、数年後毎に何回か値上げをして、30年間で修繕積立金の下限額を上回る』ようにしておけば、改正の総会時には修繕積立金月額は変わらないので、比較的スムーズに総会決議が取れますが、こうした方法はなんの解決にもなりませんのでやめておく方がいいですし、こうしたことを提案するマンション管理士などは信用してはいけません。

【区分所有者名簿と居住者名簿に関すること】
確認1

区分所有者名簿と居住者名簿があるか

 「居住者名簿」が整備できているマンションは、普段からコミュニケーションが図れているマンションといえますので、これは是非、整備しましょう。

 以上の項目の確認を管理組合の皆さまでやっていただくと、かなりマンションの管理に精通できますので、是非チャレンジしてみてください。

これで、本シリーズは終了です。
ご愛読、ありがとうございました。

管理計画認定制度に関するお問合せ先

マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会)

電話 03-5801-0858 月曜日~土曜日 午前10時~午後5時(祝日・年末年始除く)

管理計画認定基準の適合状況のチェック支援

京都市分譲マンション管理計画認定 事前チェックサービス(京安心すまいセンター)

電話 075-744-1670 午前9時~午後5時(水曜日・第3火曜日。祝日・年末年始除く)



予備認定を受けた新築マンションは
管理状況が良好なマンションと言えるのか?

番外編①
予備認定

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


番外編①

シリーズ「マンション管理計画認定制度

〜予備認定を受けた新築マンションは管理状況が良好なマンションと⾔えるのか?〜

「予備認定」とは、マンション管理センターが法律に基づく管理計画認定とは別に、分譲時点で適切な管理計画を作成した新築マンションを認定する仕組みです。

予備認定に係る審査は、管理計画認定制度の認定基準に準じて、原始管理規約や⻑期修繕計画案などの内容を踏まえて行われます。

イメージ図として「事務ガイドライン」は次の図表を載せています。

管理計画認定制度のイメージ図

参考

マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(令和3年国土交通省告示第 1286 号)(抄)
七 その他マンションの管理の適正化の推進に関する重要事項

(略)

また、国においては、既存マンションが対象となる管理計画認定制度に加え、マンションの適切な管理を担保するためには分譲時点から適切な管理を確保することが重要であることから、新築分譲マンションを対象とした管理計画を予備的に認定する仕組みについても、マンション管理適正化推進センターと連携しながら、必要な施策を講じていく必要がある。

 そして「予備認定」の認定規準は、管理計画認定制度の認定規準のうち、次の表の朱書きの項目です。

マンション管理計画認定規準

(1)「管理組合の運営」の認定基準

  ① 管理者等が定められていること

  ② 監事が選任されていること

  ③ 集会(総会)が年1回以上開催されていること

(2)「管理規約」の認定基準

  ① 管理規約が作成されていること

  ② マンションの適切な管理のため、管理規約において災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定められていること

  ③ マンションの管理状況に係る情報取得の円滑化のため、管理規約において、管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(又は電磁的方法による提供)について定められていること

(3)管理組合の経理の認定基準

  ① 管理費及び修繕積立金等について明確に区分して経理が行われていること

  ② 修繕積立金会計から他の会計への充当がされていないこと

  ③ 直前の事業年度の終了の日時点における修繕積立金の3ケ月以上の延滞が全体の1割以内であること

(4)⻑期修繕計画の作成及び⾒直し等の認定基準

  ① 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠して作成され、長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金について集会にて決議されていること

  ② ⻑期修繕計画の作成又は⾒直しが7年以内に行われていること

  ③ ⻑期修繕計画の実行性を確保するため、計画期間が30年以上で、かつ、残存期間内大規模修繕工事が2回以上ふくまれるように設定されていること

  ④ ⻑期修繕計画において将来の一時的な修繕積立金の徴収を予定していないこと

  ⑤ ⻑期修繕計画の計画期間全体での修繕積立金の総額から算定された修繕積立金の平均額が著しく低額でないこと

  ⑥ ⻑期修繕計画の計画期間の最終年度において、借入金の残⾼のない⻑期修繕計画となっていること

(5)その他

  ① 管理組合がマンションの区分所有者等への平常時における連絡に加え、災害等の緊急時に迅速な対応を行うため、組合員名簿、居住者名簿を備えているとともに、一年に一回以上は内容の確認を行っていること

  ② 都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること

 令和4年4月の制度スタート時では、「予備認定」を受けた新築マンションは、ややこしい「⻑期修繕計画」や「修繕積立金下限額」をクリアーしていることから、通常は、管理組合が設立された場合、残りの項目を認定基準に当てはめることは容易だと思われるため「マンション管理計画認定制度」に移行できる管理状況のよいマンションになると思われていました。

 しかし、「予備認定」の認定審査が進むにつれて「予備認定」を受けた新築マンションが必ずしも「管理状況のよいマンション」になるとは限らないという認識がマンション管理士の間で起きてきました(2023 年 2 月時点)。

 今回は、こうしたマンション管理士の認識がなぜ、起きてきたかを説明したいと思います。

1.最新の標準管理規約に準拠していない「原始管理規約」がある

 2023 年 2 月時点では、マンションの「標準管理規約」は、令和 3 年(2021 年)6 月 22日に公表されたものが最新版となりますので、新築マンションの購入時に提示される「原始管理規約」はこの最新版に準拠していると思うのが普通です。

 ところが、認定規準である「(2)「管理規約」と「(3)管理組合の経理」だけは標準管理規約に準拠しているが、その他はそれ以前のまま、というケースも発生しています。

2.⻑期修繕計画が「⻑期修繕計画標準様式」に準拠していない

 また、「(4)⻑期修繕計画の作成及び⾒直し等の認定基準」等では、⻑期修繕計画が「⻑期修繕計画標準様式」に準拠して作成されているケースは稀で、各社の独自の様式となっています。

 「事務ガイドライン」では「⻑期修繕計画標準様式と同一でなくてもよい」、となっていますが、「標準様式」で記載を求められている中項目である19項目だけでその内訳の小項目の記載がない、あるいは一部が抜けているなどの状況となっているケースがあります。

 さらに、修繕積立金の下限額はクリアーしていても、通常30年間の修繕積立金月額が変わらない「均等積立方式」ではなく、数年毎に修繕積立金月額が値上げになる「段階式積立方式」のケースが大半なので、実際に数年後に値上げができるかが不透明なため、下限額が確保できるかは分からない「絵にかいた餅」になっています。

 このように、本来なら、最新版の「標準管理規約」と「⻑期修繕計画標準様式」に合致した「原始管理規約」と「⻑期修繕計画書」であるべきところが、そうなっていないことが問題の本質だと思います。

 もちろん、それぞれのマンションで立地も、規模も、用途も異なりますので、「標準管理規約」をそのまま何も手を加えずに作ることは、これも問題があります。それぞれのマンションに合った「管理規約」を作るための基本は「標準管理規約」に則ったうえで、マンションに有用な項目をプラスして作ることです。

 一方、「⻑期修繕計画書」の様式は、「⻑期修繕計画標準様式」どおりに作られるべきだと思います。修繕項目の内容は、マンションによって異なりますが、修繕積立金の算出方法の考え方や、修繕工事費用の⾒積もりなどの考え方は、どのマンションも同じです。分譲会社等によって様式が異なるのは、分譲会社等の販売上の都合に過ぎないと思います。

3.「修繕積立金」の積立方式が「修繕積立金ガイドライン」に準拠していない

 国が発表している「修繕積立金ガイドライン」は、⻑期修繕計画の期間中は修繕積立金の改定の無い「均等積立方式」を採用しています。しかし、「事務ガイドライン」においては、「段階式積立方式」を認めています。その中で、「修繕積立金ガイドライン」の「㎡当たりの積立金額の下限額の目安」を下回っていなければ認定要件は満たされます。ですが、⻑期修繕計画期間中に修繕積立金の値上げが計画通りできれば問題はないでしょうが、値上げが総会で否決されれば、将来、修繕積立金不足に陥ることは明白です。修繕積立金が不足しているマンションが良好なマンションであるとはとても⾔い難いです。この「段階式積立方式」を採用している理由は、分譲会社が、消費者に売り易くするためにしているのであって、消費者のためを思ってしていることではなく、分譲会社の販売上の戦略に過ぎないと思います。

 なお、⻑期修繕計画期間中の修繕費累計額において、「段階式積立方式」の方が、「均等積立方式」より、区分所有者のトータルの負担額は多くなります。

4.「予備認定」の審査は、あくまでも「事務ガイドライン」に則って行われる

 「予備認定」は、「管理計画認定制度」の認定規準に準じて審査されますので、当然認定規準の目安は「事務ガイドライン」となります。

 したがって「事務ガイドライン」どおりになっていれば認定されます。また「事務ガイドラン」で「認定されない基準」も明記されていますので、それに当てはまれば認定されません。あたり前のことのようですが、これが、先ほどらいの問題点の発生理由となっています。

 「管理計画認定制度」の認定を目指す管理組合への支援を行うなかで、マンション管理士は、中立的な立場で認定規準に合致するようにアドバイスを行います。「標準管理規約」に則ってマンションに有用な項目をプラスする、「⻑期修繕計画書」の様式は、「⻑期修繕計画標準様式」どおりに作るようにアドバイスしますので、きちんと対応されれば、本当に管理状況のよいマンションだと評価されると思います。

 一方、「予備認定」は分譲会社または予定管理会社(以下「分譲会社等」という)が「原始管理規約」と「⻑期修繕計画案」を作ります。作成には、中立的な立場のマンション管理士は関与しません。

 「予備認定」の審査をするなかで、「確かに「事務ガイドライン」に書いてある項目は、書いてあるが、修繕積立金の額も、修繕工事費の⾒積もりも根拠があいまいなままなのに認定していいのか」、「「事務ガイドライン」で認定されない基準には当てはまらないが、こうした内容で「管理状況の良いマンション」と⾔えるのか」といったジレンマに陥るマンション管理士が多くいます。中には、「こうしたマンションを「予備認定」合格マンションとして世に送り出してもいいのだろうか。消費者保護の観点からとても耐えられない」と認定審査を辞退するマンション管理士もいます。

 しかしながら、「事務ガイドライン」どおりになっていれば認定され、「事務ガイドラン」で「認定されない基準」に当てはまなければ認定されます。

 「予備認定」といえども、行政の認定審査に準じて行う必要があるので審査担当者の個人的な⾒解は考慮されませんし、してはいけません。

 それを踏まえたうえで、なにが⾔いたいのかと⾔うと、「予備認定」に合格しているマンションが必ずしも「管理状況が良好となりうるマンションとは⾔えない」ということを分かって欲しいとうことです。

 そこで、新築マンションを購入する際に確認していただきたいポイントを次の表にまとめましたので、参考にしてください。

ポイント1

最新の標準管理規約に準拠しているとは限らないので、最新版の「標準管理規約」と⾒比べて、齟齬があればその理由を聞く

マンション管理センターや国土交通省のHPで「標準管理規約」は入手できます

ポイント2

⻑期修繕計画が「⻑期修繕計画標準様式」に準拠しているとは限らないので、なぜ、違う様式になっているのかその理由を聞く

マンション管理センターや国土交通省のHPで「⻑期修繕計画標準様式」は入手できます

ポイント3

修繕積立金の積立方式が「均等積立方式」ではなく 「段階式積立方式」の場合は、その理由を聞く

「段階式積立式方式」は、数年毎に修繕積立金の値上げが予定されていますので、ライフサイクルに合っているかを確認する必要があります。

 上記を聞いたときに、回答内容はともかくとして、きちんと対応してくれれば信頼できる分譲会社等だと思います。

 「なんで、こいつはこんな面倒なことをきくのか」といった姿勢が⾒える社員がいる分譲会社等のマンションは避けたほうが無難です。

 また、上記の3項目のなかで、特に重要なのは、ポイント3です。

 「均等積立方式」であっても、将来の物価上昇などで値上げが必要となる場合がありますので、必ずしも「段階式積立式方式」がダメだとは⾔えません。

 しかし、「段階式積立方式」の極端な例では、5年毎に値上げされ、25年後に購入時の6倍に値上げになっているものがあります。40歳で購入したときの修繕積立金が5千円とすると、45歳で1万円、50歳で1万5千円、55歳で2万円、60歳で2万5千円、65歳になったら3万円になりますが、払えますか?

 「自分は払える」から問題ない、では済みません。区分所有者全員が払えないと大規模修繕工事ができません。5年毎の値上げを総会で否決されるケースも発生します。

 規模修繕工事ができなければ、「管理不全マンション」になります。65歳ならともかく、55歳で購入したら25年後は80歳です。もし、相続が発生していて、相続人が相続放棄したらどうなるのか?

 それまでに売却するので関係ない?

 売れればいいですが、よほど立地が良くなければこんなマンションは購入価格をはるかに下回らなければ売れません。通常、新築マンションは購入したとたんに15%から20%、値下がりすると⾔われています。

 新築マンションの購入は、「予備認定」を受けているので、住宅金融支援機構の金利優遇があるから買う、という考えは捨てましょう。

 大手の分譲会社等なら安心?

 大手だけでなく分譲会社等は、売るためにいろいろな手法を用いてきます。

 売ったあとに、修繕積立金の値上げをするのは「購入者である区分所有者=「あなた」が必ず入らなければならない管理組合」です。

 分譲会社等は、「修繕積立金の値上げを決めるのは管理組合(区分所有者)ですよ」というスタンスですから、何もしてくれません。

 ただし、すべての分譲会社等がそういったスタンスとはいえませんので、良心的な分譲会社等は、第一期の管理組合へのアドバイスとして、例えば「今の修繕積立金額は5年間のもので、5年後に値上げをする計画になっています。5年後に値上げができないと将来、積立不足が発生するので、5年後と⾔わずなるべく早い時期に値上げをした方がいいです。」と⾔ってくれることもあります。

 しかし、このアドバイスは購入後ですので、「いまさら、⾔われても・・・」となります。

 買う、買わない、を決めるのは「あなた」ですので、しっかりと⾒極めることが大切です。

 ただ、「予備認定」を受けていてもこうした不具合があります。

 そして、おそらく今年以降に分譲されるマンションの大半が「予備認定」を受けていると思いますから、「予備認定」を受けていない新築マンションは、「販売に有利なのになぜ、受けないのか?」という疑問が残ります。

 「購入時にローンを組む必要がない⾼額所得者しか買えないマンション」なら、受けるメリットはないでしょう。そうでないなら避けた方が無難だと思いますが、「予備認定」は購入を検討する際の情報の一つにしか過ぎない、という点は理解してほしいと思います

次回は、中古マンションの購入時のポイントを解説する予定です。

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中古マンションの購入時のポイント

番外編②
中古マンション

2026年7月改訂版
一般社団法人京都府マンション管理士会
マンション管理計画認定制度対策PT


番外編②

シリーズ「マンション管理計画認定制度

~マンション管理計画認定制度以外の中古マンション購入時のポイントとは?~

「中古マンションは管理を買え」と言われています。

 そこで、「マンション管理計画認定制度」が一つの指標になると、本シリーズで述べてきましたが、それだけで購入を決めてよいのでしょうか。

 今回は、趣向を変えて「中古マンションの購入時のポイント」をマンション管理士の立場から述べていきたいと思います。

 「中古マンションの購入時のポイント」を解説した書籍やインターネットの記事は、多くあります。

 多くは、似たり寄ったりの内容で「管理状況を確認する」・「夜や雨の日などにも見に行く」・・・などなど。

 私たちは、京都府マンション管理士会に所属していますが、多くが京都市のマンションにかかわっています。そこで、京都市の中古マンション特有の課題を解説していきたいと思います。

 京都市における中古マンションの課題を挙げると次のようになります。

1.小規模マンションが多いゆえに、そうしたマンションは修繕資金等の確保が難しい。
2.高さ規制と景観条例が厳しく、将来の建て替えが難しい。

1と2に当てはまるマンションの中には、流通価格が安いものがありますが、安いなりの理由があり、こうしたマンションを購入した場合、老朽化したままで住み続けるしかない、という状況に陥る恐れがあります。

3.立地等により人気のマンションの取引価格が高騰している。

3に当てはまる便利な街の中心部のマンションは、新婚のサラリーマンが購入できる範囲を超えていて、京都市以外の地域では新築マンションが買えるほどの流通価格となっています。若い世代が買えないほどの流通価格となっていることから、将来の人口増加は期待できず、人口減少に伴う、商業施設の撤退や小学校・中学校が統合される可能性があり、いつまで人気が続くかは不透明です。

4.投資目的やセカンドハウス目的で購入されることが多く、不在住戸が比較的多い。

4に当てはまる8000万円~2億円ぐらいするマンションの購入者は、富裕層の投資目的で購入をしているようです。また、比較的低価格の投資目的マンションやセカンドハウス目的のマンションでは、不在住戸率や賃貸率が高いことによる管理に対する住民の意識が低いため管理状況の良いマンションになる可能性は低いと思います。

 このように、今まで、需要を一律に購入者全般として考えられていたものを、富裕層と居住専用の2極ととらえ、居住専用者にはローン減税以上の援助が必要であると思います。逆に、京都市の取り組みのように、別荘税ともいうべき負担を富裕層に課すことも有意義であると思います。また、開発業者に対しても、一般居住者に売却するマンションは、投資目的の購入を禁止するような施策を行政に主導してほしいものです。

 京都市の新築マンションの価格高騰により、こうした課題がある京都市の中古マンションですが、現状では購入希望者が多くおられます。

 しかし、20年未満の築浅マンションはともかくとして、築40年を超えているマンションは次の点に注意が必要です。

・給排水管の取替工事の可能性がある。→ リフォームした部屋の床を剥がされる。

・50年を超えると、建替え又は敷地売却の可能性がある。特に、修繕積立金が安いと可能性は高い。

・あるいは、大幅な修繕積立金の値上げが検討されているか、一時金の徴収が検討されている。決まっていれば重要事項説明書に記載されているが、検討段階では記載されない。

 このような問題を多く抱える京都市の中古マンションの購入を検討されている方は、こうした問題点を把握し、適切なアドバイスをしてくれる信頼できる仲介業者選びから始めることをお勧めします。

 それでは、信頼できる仲介業者がどこにいるのか?

 当会で紹介できればいいのですが、無理です。

 結論は、「運と出会いに任せるしかない・・・」。そんなもんです。新築戸建て住宅でも、新築マンションでも同じです。

 京都市の「安すまパートナー選定支援システム(京安心すまいセンターHP参照)」で探すのも一つの方法ですが、ここでも「運と出会いに任せる・・・」としか言えません。

 とはいえ、当会でお手伝いできることを記載します。

 次の中古マンション選びのポイントを参考に、仲介業者から紹介された物件を検討してみてください。

 それなりに、ポイントをついていますので、参考になりますよ。

 調査する際に、全ての事項が調査出来れば良いのですが、仲介業者によっては、調査に協力してもらえない場合も多いと思います。

 仲介業者が協力してくれない場合は、別の業者を探しましょう。信頼できる業者が見つかるまで探しましょう。

 多くの方は、一生に一回の大きな買い物です。いい加減な業者に任せてはいけません。

 遠慮なく、業者を変えましょう

 また、管理規約は購入時の重要ポイントの一つであり、管理規約は調査すべきと思います。

チェックポイント
管理規約

ペットの飼育の規定の有無、及びその詳細を確認する。

管理規約

管理規約や集会決議等で滞納等が新区分所有者に請求できる旨の定めがあることを確認する。

管理規約

管理規約を確認して、共用部分と専有部分の区分けの状況を確認する。

管理規約

民泊禁止規定があることを確認する。

管理会社

管理人の勤務日・勤務時間を確認する。
管理人がいないマンションは避ける。

管理会社

自主管理か管理会社に委託しているか確認し、管理会社へ委託している場合は、管理会社の評判等を調べる。
自主管理の場合は、理事になった時の負担が大きいことを理解しておく。

議事録

総会議事録を確認して、総会議場出席者の割合を確認することにより、組合員のマンション管理への意識の高さを分かる。

共用部分

共用部分がバリアフリーか否か。バリアフリーとなっていなくとも、将来においてバリアフリー化できるかどうか確認する。資金があっても構造上できないこともある。

共用部分

インターネット環境を確認する(一括で加入している場合などの規約などもある)。

共用部分

ベランダ等のガラス部分がペアガラスでなく1枚式の場合救急車等の騒音の問題と結露には、注意が必要。また、外から侵入しづらい鍵となっているか。風速50m級の嵐に耐えられるのか等の確認が必要。

共用部分

専有部分(購入希望の部屋)ばかり見るのではなく、共用部分をよく観察する。(自転車置場、廊下、ごみ置場等の共用部分の整理整頓、清掃がなされているか確認することでそのマンションの管理状況がわかる。)。

共用部分

給排水設備の更生工事や更新工事の有無を確認する。未工事の場合、専有部分(自宅)をリフォームした後に給排水管更新工事が実施されると、リフォームした部屋の床を剥がす工事をする必要がでてくる。

共用部分

使用資材・設備(アスベスト含有建材の使用の有無又はその調査の有無、キューヴィクル等のPCBを含む電機機器の有無)を確認する。アスベストなどがあれば、撤去に多くの費用が必要となる場合がある。
土壌汚染のリスクがないか確認する。
大規模マンションほど工場跡地に建設されている場合が多い。地歴調査も必要。

共用部分

共用部分の状態を確認する。
オートロック・宅配ボックスの有無、駐車場・駐輪場の状態、エレベータのタイプ(スキップフロア型の場合もある)など。

長期修繕計画

大規模修繕工事の予定有無(近い将来の実施の有無)を確認する。
入居後、いきなり大規模修繕工事が実施されるという事態も考えられる。

長期修繕計画

長期修繕計画・修繕履歴・点検報告書等を見て、的確に修繕がなされていることを確認する。

管理費・
修繕積立金

現所有者の管理費・修繕積立金の滞納金がないかを確認する。
未払いがあれば、購入者が払わなければならない。
マンション全体でも、長期の滞納があると管理面等に問題が起こり得るので注意が必要。これらは、管理会社が作成する重要事項調査報告書で確認できる。

修繕積立金

修繕積立金に関して長期修繕計画上均等となっていても、築後10年を超えると見直され、ドカンと上がるケースがあるので、築後10年辺りの物件は注意が必要。

修繕積立金

長期修繕計画書で、将来積立金等の値上げの可能性があるか、無いかを確認する。値上げの計画があれば、返済計画が狂ってしまう。

防災

耐震性に問題がないかを確認する。
昭和56年6月1日以前に建築確認申請が受理されている建物は旧耐震基準で建てられた建物で、耐震対策が為されているか注意が必要。

防災

2020年8月に重要事項説明書に水害ハザードマップの説明の記載の義務化がなされているが、記載されているかを確認する。

防災

マンションがある地域が特別土砂災害警戒区域もしくは土砂災害警戒区域内でないかを確認する(ハザードマップにて確認が出来る)。
都道府県によって異なるが、京都府の場合、平成18年に土砂災害警戒区域等の指定が為されている。それ以前の建物は、基準に満たない建物の可能性があり、特に、特別土砂災害警戒区域内の建物に関しては、注意が必要。
ハザードマップには、洪水、津波他の情報も記載されているので、どのような場所か知っておくために利用する。

その他

心理的瑕疵(自死等の事故物件、専有部分内か否か。調査は限定的、分かる範囲で。)がないかを確認する。

その他

学区の確認(学区の線引きが変更になる可能性も考慮する。人気の学区にこだわるなら小学校の近隣のマンションを買う)。

その他

大きな買い物であることから、マンション管理士等の専門家に意見を求めることも考える。

 これらの調査内容が難しければ、マンション管理士に相談するのも一考かと思います。

 また、購入者が最終、意思決定するわけですから、現地で内覧等をする場合、専有部分のみならず、共有部分もしっかりと確認しておく必要があると思います。

 最後に、マンションは管理を買え、と言われるとおり、管理組合がしっかりと機能していることが一番大事です。

 しかし、管理組合がしっかりしていると、規律や縛られるルールが多くなります。

 そこで起こる問題は、管理に熱心な住民(管理組合役員など)と一般の住民との価値観の相違が起こるトラブルです。

 中古・新築を問わず、分譲マンションを購入しようと思う方は、分譲マンションでの生活は制約が多いことを理解する必要があります。

 一戸建ては自分の思うように改修できますが、分譲マンションはできません。自由にベランダで布団を干すこともできません。ピアノを弾く時間も制約されますし、ペットも自由に飼えません。お孫さんが来て、部屋で走り回れば、下の階の住民から苦情がきます。

 逆に、上階の部屋で子供が部屋を走り回れば、うるさくてイライラします。一戸建てでは起こらない問題が起こります。

 ただし、こうした問題が起こっても住人のコミュニティが確立されていれば、問題の解決は可能です。ある意味、マンションで生活するには一戸建て以上に隣近所との付き合いを大事にする必要があります。

 分譲マンションでも一戸建てでも買える資金がある。

 こうした時にアドバイスをするとすれば、あくまでも私見ですが、「一戸建てを購入すべきです。」  自由に使えます。

 一方で、管理費や修繕積立金を払うことで、一戸建てでよく起こる「資金がないから雨漏りやタイルの剥がれなどが修繕できない」という事態は管理組合がしっかりしていれば起こりにくくなります(もっとも、部屋の中の修繕は一戸建てもマンションも自分で支払う必要があるのは同じですが)。

 要は、ご自分(ご家族)のライフスタイルに合うのはどちらか、という選択になると思います。

 以上、本シリーズをお読みいただきありがとうございました。

 こうした問題を抱えた分譲マンションに関するご相談は、京都府マンション管理士会所属のマンション管理士にご用命くださるようお願いいたします。

おわり

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認定基準で注意するポイント

解説
認定基準の注意

2026年7月改訂版
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マンション管理計画認定制度対策PT


解説

シリーズ「マンション管理計画認定制度

~認定基準で注意するポイントについて~

 京都市が実施する「管理計画認定事前チェックサービス」では、分譲マンション管理計画認定制度の認定審査時に使用する、国土交通省作成の「分譲マンション管理計画認定制度に関する事務ガイドライン(以下、ガイドラインという)」に合致しているかをチェックしていますが、これまでにチェックしたケースでは、多くの不備事項がありました。

 そこで、今回は、特に気をつけていただきたいポイントに絞って説明していきますので、認定申請の自己チェックにあたって参考にしてください。

 また、認定審査をされる会員もこれらの点についてご留意ください。

 なお、「管理計画認定事前チェックサービス」で総会決議が必要な項目を指摘された場合、指摘事項を修正し、改めて総会を開催して承認を受ける必要がありますので、ご利用を検討されている管理組合においては、総会前にご利用されることをお勧めします。

 *管理組合の皆様がご自分のマンションの管理状態を、本解説以外の項目も含めてガイドラインに照らして自己チェックされる場合の解説書は、京都府マンション管理士会HPに掲載されていますので、そちらをご覧ください。

認定基準(1)① 管理者等が定められていること

 管理者等とは、理事⾧のことですので、理事⾧が選任されていることが必要となります。

 多くの管理組合では、毎年開催される総会で、「理事⾧ ○○ ○○」と選任され、総会議事録に記載されていると思いますが、管理規約が標準管理規約(第 35 条)どおりに記載されている場合は、「理事⾧は理事会で選任すること」になっています。この場合は、理事会議事録で理事⾧が選任されたことが記載されている必要があるため、注意してください。

 これまでずっと総会で理事⾧を選任しているのでいまさら管理規約を直せない場合は、理事会議事録で「総会決議における理事⾧の選任を追認する」と記載することでよいと思います。

認定基準(1)② 監事が選任されていること

 監事についても、多くの管理組合では、毎年開催される総会で、「監事 ○○ ○○」と選任され、総会議事録に記載されていると思いますが、ここでのポイントは、管理規約に標準管理規約(第 41 条)に記載されている監事の職務に関する記載がないと認定基準に合致しませんので注意してください。また、管理規約が標準管理規約第 35 条第 2 項のとおり記載されている場合は、理事会の互選で選任されているケースでは、適合しません。

認定基準(2)① 管理規約が作成されていること

 管理規約が改正されている場合、新旧対照表はあるが、現在有効な管理規約全体が記載されているもの(以下、全体版という)がないケースもあると思いますが、新旧対照表を提出する場合は、それが決議された時の総会議事録も合わせて提出する必要がありますので注意してください。

 したがって、管理計画認定を受ける際には、全体版を作るほうが手間も省けますし、日頃の管理においても全体版は必要ですので、是非、作成されることをお勧めします。

認定基準(2)② マンションの適切な管理のため、管理規約において災害等の緊急時や管理上必要なときの専有部の立ち入り、修繕等の履歴情報の管理等について定められていること

 これは標準管理規約第 23 条(必要箇所への立入り)第 4 項と第 32 条第 6 号と同じことが管理規約に記載されていないとダメですということです。

 よくあるケースで、ホームセキュリティーを契約しているので、この文言と異なる規定になっている場合がありますが、認定をクリアするには第 23 条第 4 項と同じように記載されている必要がありますので注意してください。ホームセキュリティーなどの記載は別項としたほうがよいと思います。

 また、標準管理規約第 32 条第 6 号を修正しているケースもありますが、「修繕等の履歴情報の整理及び管理等」が記載されている必要がありますので注意してください。

 表現が違うけど同じ内容だと言われても、審査担当者が同じでないとダメと言うケースもありますので、同じにしておくほうが無難です。

認定基準(2)③ マンションの管理状況に係る情報取得の円滑化のため、管理規約において、管理組合の財務・管理に関する情報の書面の交付(又は電磁的方法による提供)について定められていること

 これは、標準管理規約第 64 条第 3 項と同じことが管理規約に記載されていないとダメですということです。

 ここで重要なのは、第 3 項だけでなく、第 3 項で述べている情報等が標準管理規約に記載されているものが含まれている必要があることです。第 3 項では、「本条第 1 項及び第 2 項並びに第 72 条第 2 項及び第 4 項の規定により閲覧の対象とされる管理組合の財務・管理に関する情報」の書面交付を定めています。本条第 1 項の内容が、標準管理規約に記載されている内容と同じでないケースがありますが、この場合は認定されない可能性があるので注意してください。したがって、第 1 項~第 2 項も標準管理規約と同じようにしておく方が無難です。また、第 3 項の括弧書きの中の参照条文の整合性も確認する必要があります。

認定基準(3)① 管理費及び修繕積立金等について明確に区分して経理が行われていること

 ここでは、管理費会計の収支計算書と貸借対照表等があり、修繕積立金会計の収支計算書と貸借対照表等があることが必要です。

 また、「修繕積立金については、管理費と区分して経理しなければならない。」という内容が管理規約に記載されている必要がありますので注意してください。

認定基準(3)②修繕積立金会計から他の会計への充当がなされていないこと

 ここで重要なことは、標準管理規約第 28 条と同じことが管理規約に記載されている場合、それ以外の支出があればこの認定基準に合致しないということです。例えば、経費等に該当する支出は管理費会計から支出することに標準管理規約ではなっています。標準管理規約第 28 条に記載されている「特別の管理に要する経費」以外の支出(例えば、振込手数料など)があればこの認定基準に合致しないことになりますので注意してください(ただし、今後、変更があるかもしれません)。

 また、管理規約で「管理費が不足する場合、修繕積立金から一時的に立替ができる。」という記載があれば、認定基準に合致しないことになりますので注意してください。

 なお、収支計算書の修繕積立金会計の項目に「管理費会計への振替」などの科目があれば認定基準に合致しない可能性がありますので、これも注意してください。

認定基準(4)① 長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金額について集会にて決議されていること

 「標準様式に準拠」していると認められるには、事務ガイドラインに記載された 10 項目のすべてが⾧期修繕計画書に記載されている必要がありますが、10 項目のうち次の項目に不備がるケースが多くありますので、注意してください。

  ①修繕工事の内容(19 工事項目)

  ④修繕積立金の月当たり㎡単価

 具体的に説明します。

 ①の「19 工事項目」とは、次に記載された工事のことです

1仮設工事 ・2屋根防水・3床防水・4外壁塗装等・5鉄部塗装等・6建具・金物等・7共用内部・8給水設備・9排水設備・10 ガス設備・11 空調・換気設備・12 電灯設備等・13情報・通信設備・14 消防用設備・15 昇降機設備・16 立体駐車場設備・17 外構・附属施設・18 調査・診断、 設計、工事監理等費用・19 ⾧期修繕計画作成費用

 認定審査に合格するのは、この 19 工事項目がすべて⾧期修繕計画書に記載されている必要がありますが、

・複数の工事項目が一つに纏められている

・工事項目の名称が 19 工事項目と異なる

・⾧期修繕計画期間内に工事を予定していない、あるいは該当の設備がない(機械式駐車場等)ので記載されていないというケースが実際には多くあります。

 この場合には

・複数の工事項目が一つに纏められている場合は、内訳表などで 19 工事項目のどれが含まれているかを記載する必要がある。

・⾧期修繕計画期間内に工事を予定していないので記載していない場合は、工事を予定していなくてよい理由の記載と当該工事を行うとした場合の予定時期及び推定修繕工事費の記載が必要である。

・該当の設備がない場合はその旨の記載が必要である。

・工事項目の名称が 19 工事項目と異なる場合は、突合せ表を作る必要がある。

・⾧期修繕計画の作成・変更費用が管理委託契約に含まれる場合は、その旨の記載が必要となるので、注意してください。

 ④「修繕積立金の月当たり㎡単価」は、修繕積立金の平均額ではなく、「毎月の修繕積立金総額を専有床面積で割ったもの」ですので注意してください。

「段階増額積立方式」の場合は、値上げ毎に「修繕積立金の月当たり㎡単価」の記載が必要ですので、⾧期修繕計画標準様式第 5 号に準じたものを作成するのがよいと思います。

以上

管理計画認定制度に関するお問合せ先

マンション管理計画認定制度相談ダイヤル(日本マンション管理士会連合会)

電話 03-5801-0858 月曜日~土曜日 午前10時~午後5時(祝日・年末年始除く)

管理計画認定基準の適合状況のチェック支援

京都市分譲マンション管理計画認定 事前チェックサービス(京安心すまいセンター)

電話 075-744-1670 午前9時~午後5時(水曜日・第3火曜日。祝日・年末年始除く)

令和9年4月1日施行で管理計画認定制度が改定されます

令和9年4月1日から、管理計画認定制度の対象を新築マンションにも拡充する制度改正が予定されています。主な改正内容は、次のとおりです。

  • 新築時における分譲事業者による認定申請の導入
  • 管理組合への引継制度の創設
  • 認定マンションの表示制度の創設
  • 長期修繕計画の見直し期間の短縮
  • 管理規約・防災体制に関する基準の強化

本解説集では、2026年7月現在の制度について紹介していますが、今後予定されている制度改正についても順次取り上げていく予定です。

※新築マンションへの対象拡大と表示制度は法改正により確定していますが、個別の認定基準については、今後公表される省令・告示等の最終内容をご確認ください。