「分譲マンション管理計画認定制度の認定基準見直し」に関する意見募集(パブリックコメント)に対し、京都府マンション管理士会として意見を提出いたしましたので、ご紹介します
「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」に対する意見
京都府マンション管理士会 会長 小林孝宏
【意見の内容】
1.「分譲事業者の役割」が新設されたことに対する評価(消極的に賛成)
今回の基本方針の変更案において、新たに「分譲事業者の役割」が明記され、販売段階での管理計画認定の取得や、管理組合等への適切な引継ぎが位置付けられたことについては、従来の民間による予備認定制度において、取得後に正式な認定マンションに至らない(管理組合が申請を行わない)事例が多すぎたという現場の課題に対するテコ入れとして、分譲事業者を当事者として巻き込む方向性は致し方ないと考える。
2.実績がない段階での認定による「消費者誤認の防止」の明記(要望)
ただし、本来、マンション管理の主役は区分所有者であり、区分所有者による自律的な管理実績が全くない(管理が始まってすらいない)段階で「優良な管理計画である」と認定することには強い違和感を覚えるものである。よって、新築時の認定(いわば計画・予定)と既存マンションの認定(実績)が本質的に異なることを消費者が正しく理解できるよう、「表示や周知啓発において消費者の誤認を防ぐための措置を講ずる」旨の方向性を明確に追記すべきであると考える。
3.引継ぎ不成立時のペナルティの不公平性解消と「伴走支援」の明記(強い要望)
また、基本方針案において、分譲事業者は「管理者等が選任されたときは、速やかに、適切な引継ぎを行うよう努める」とされているが、実態として素人の集まりである管理組合が立ち上がるプロセスは困難を伴う。物件を売り切った分譲事業者が引継ぎを放棄し、結果的に認定が取り消された場合、不利益(資産価値の低下や信用の失墜)を被るのは購入した区分所有者のみである。この「売り逃げ」を防ぐため、基本方針に以下の2点を盛り込むべきである。
- 単なる「引継ぎ」という文言にとどまらず、分譲事業者は管理組合が自律的に機能するまで確実にサポートする「伴走支援を行う役割」を担う旨を明記すること。
- 引継ぎを完了させず認定取り消しに至った分譲事業者に対しては、企業名の公表等、社会的責任を問うペナルティを課す制度的枠組みを検討する旨を明記すること。
4.認定基準(項目)の追加に対する慎重な姿勢の要望(要望)
今回の基本方針案では、老朽化への対応、外部専門家の活用、防災・減災の推進など、現代のマンションが抱える課題に対する重要事項が多数追加されている。国がこれらの推進を基本方針として掲げること自体には賛同する。
しかしながら、これらの方針をそのまま管理計画の「認定基準」に直結させ、すべてを必須要件化していくことには警鐘を鳴らしたい。安定的に認定マンションの数を増やし、制度の裾野を広げていくためには、これ以上の基準の厳格化は現場の管理組合にとって認定取得のモチベーション低下(申請の手間やハードルの高騰)を招く。最悪、せっかくとった認定を5年後の更新時に更新をあきらめる管理組合が出現し認定マンション数が後退する恐れすらある。
基本方針の推進にあたっては、「認定項目の追加には慎重を期し、制度の普及とのバランスを図る」という視点を持つべきである。

