アスベスト含有建材が使われている可能性がある場合、大規模修繕工事を行う前にどのような調査や対応が必要になりますか。
私は築40年のマンションの理事長です。来年大規模修繕を控えていますが、建物にアスベスト含有建材が使われている可能性があります。最近、法改正で規制が厳しくなったと聞きました。工事前に管理組合として義務付けられる調査や、その後の対応について、具体的な手順を教えてください。
築40年のマンションで大規模修繕を計画される場合、2022年4月施行の改正石綿障害予防規則への対応は、安全と法令遵守のために極めて重要です。
最も重要な義務は「事前調査」の実施です。請負金額にかかわらず、解体・改修工事を行うすべての建物で、アスベストの有無を事前に調査することが義務付けられました。この調査は、2023年10月以降、厚生労働大臣が定める講習を修了した有資格者(アスベスト調査者)に依頼しなければなりません。
| 義務の種類 | 主な義務を負う者 | 管理組合が特に注意すべき点 |
| 事前調査の「実施」・「結果報告」 | 施工者(元請業者) | 管理組合は、調査結果を施工者に提供し、施工者が行政(労基署・自治体)へ報告しているかを確認する。 |
| 事前調査の「発注」・「費用負担」 | 管理組合(発注者) | 法令遵守のため、必ず有資格者に調査を発注し、その費用(修繕積立金から)を負担する責任がある。 |
| 飛散防止措置・除去工事 | 施工者(元請業者) | 除去費用は高額になるため、事前に計画に織り込み、安全な工法が採用されているかを監督する。 |
| 住民への「説明責任」 | 管理組合(発注者) | 法的義務ではないが、住民の健康のため、調査結果や対策、安全措置を丁寧に周知徹底する責任がある。 |
このように、管理組合は「調査を発注し費用を負担する責任」と「住民の安全を確保する説明責任」を負い、施工者は「調査の実施、行政への報告、安全な工事の実施責任」を負います。
大規模修繕の円滑な進行と、居住者及び作業員の健康を守るため、早期に調査を発注し、調査結果に基づいた費用計画と住民への周知を実施してください。
(回答者:TK)


