受水槽方式から直結給水方式へ切り替える際のメリットと費用、手続きは?

 私は理事会の設備担当です。築30年を超え、受水槽の老朽化が進んでいるため、受水槽方式から水道本管の水を直接各戸に送る直結給水方式への切り替えを検討しています。切り替えにかかる費用や、管理組合にとってのメリットを知りたいです。また、手続きや住民への説明など、理事会としてどのように進めるべきか、注意点を含めて教えてください。

 受水槽から直結給水方式への切り替えは、特に築年数が経過したマンションにとって、衛生面とコスト面で大きなメリットがある重要な決断です。

 最も大きなメリットは、衛生面の向上です。受水槽を廃止することで、水の貯留による汚染リスクや、受水槽内部の清掃・点検が不要になり、水道局から供給される水をそのまま利用できるため、水の鮮度が保たれます。また、受水槽本体や付帯設備の維持管理費用(清掃費、点検費、ポンプ交換費など)が不要となり、長期的な管理コストの削減につながります。さらに、受水槽スペースを他の用途(防災備蓄庫など)に活用できる可能性もあります。
 費用に関しては、主に直結給水用ポンプの設置費用と、各戸の給水管が直結給水の水圧に耐えられるか確認するための調査費用がかかります。総費用はマンションの規模や立地条件によって大きく異なりますが、行政からの補助金制度が利用できる場合があるため、事前に自治体の水道局に確認が必要です。

 手続きは、まず水道局への事前相談・申請が不可欠です。技術的な要件(水圧、設置階数など)の確認を受ける必要があります。特に注意が必要なのは、この給水方式の変更がマンションの給水システムという共用部分の「変更」にあたるため、管理組合総会での決議が必要となる点です。
 総会決議に向けては、切り替えによる費用削減効果と水質・衛生面のメリットを明確にした資料を作成し、住民説明会を複数回実施するなど、時間をかけて合意形成を進めることが、円滑な導入の鍵となります。

(回答者:TK)