玄関ドア・窓サッシの修繕と費用負担

 理事会の設備担当をしています。築30年のマンションで、住民から「玄関ドアの建付けが悪くなった」「窓サッシの老朽化で結露がひどい」といった修繕要望が増えています。これらの費用について、区分所有者個人の負担なのか、管理組合の共用部分として修繕積立金から支出すべきなのか判断に迷っています。法的な解釈や規約上の一般的な取り決め、費用負担の原則について教えてください。

 玄関ドアや窓サッシは、専有部分に付属していますが、その性質上、共用部分として扱われるのが一般的です。ただし、共用部分の中でも「どこまで」を管理組合が負担するかがポイントになります。
 国土交通省の「マンション標準管理規約」に基づくと、玄関ドアや窓サッシは、「専有部分に付属する共用部分」(これを「専用使用部分」と呼ぶこともあります)として扱われます。

管理と費用の原則

  1. 管理責任(修繕積立金で支出):
    • ドアやサッシの本体(躯体に近い部分)、枠、外部(外から見える部分)は、建物の外観や構造、防犯・防火に影響するため、共用部分と見なされます。このため、大規模修繕や計画的な修繕費用は、原則として管理組合の修繕積立金から支出されます。
  2. 専用使用責任(個人負担):
    • ドアの内側(室内側)、錠、ハンドル、サッシの鍵、網戸、ガラス(割れた場合の交換)など、個人の利用・管理に帰する部分の日常的な維持管理や修繕費用は、区分所有者個人の負担とすることが多いです。

規約で異なる可能性がある点

 この区別は、お住まいのマンションの管理規約によって具体的に定められています。規約によっては、結露対策や断熱性能向上のためのサッシ交換費用を、個人の受益性を考慮し、一定のルールのもとで個人負担としているケースもあります。
 トラブルを防ぐため、まずはご自身のマンションの管理規約を確認し、玄関ドア・窓サッシに関する規定がどうなっているかを明確にすることが第一歩です。その上で、区分所有者間で納得のいくように、管理組合が定める使用細則で修繕費用の負担範囲を明文化しておくことをお勧めします。