管理費会計の水道料の収入と支出に差がある理由
理事会の会計担当をしています。毎月の管理費会計を見ると、住民から徴収している水道料の収入合計額と、水道局に支払っている水道料の支出額に、常に差額(収入超過)が出ています。この差額はどこから生まれているのでしょうか?
管理費会計で水道料の収入が支出を上回る「差益」が生じるのは、ご指摘の通り、水道料金の算定方式に原因があります。この差額は、水道料金が採用する「逓増制(ていぞうせい)」という、使用量が多くなるほど1立方メートルあたりの単価が高くなる仕組みから生まれます。
水道局はマンション全体の使用量を一つの中央メーターで計測し、全体の使用量に逓増制を適用して料金を計算します。一方、管理組合は、各戸メーターの使用量を個別に計算し、その合計額を徴収します。各戸の計算では、料金単価の低い水量区分(京都市水道局の場合、11~20㎥=10円)を使い切らない家庭と、料金単価の高い水量区分(同じく、61~200㎥=208円)まで食い込んで使ってしまっている家庭が混在しますが、水道局からは平均値×戸数で計算した低い単価が適用されるため、結果として管理組合全体の徴収額が水道局への支払額を上回る(差益が生じる)現象が発生しやすくなります。
この差益は将来の給水設備の維持に充てられるべきです。特に、計量法に基づき8年ごとの交換が義務付けられている各戸の水道メーターの交換費用や、共用給水管の老朽化に伴う修繕・更新費用は、すべて管理組合の負担となることから、この差益を原資として充当することが合理的です。
したがって、会計上は管理費会計の収益として計上しつつも、その使途を明確にすることが重要です。必ずしも水道専用の特別積立科目を設ける必要まではありませんが、この差益分を長期修繕計画の中に、水道メーターや給水管の更新費用として明確に組み入れ、計画的にプールするという形で、財源と使途の関連付けを行うことが、公平性をもって設備維持責任を果たす上で望ましい対応となります。
(回答者:TK)


