分譲後10年が経過し大規模改修工事の時期が近づいてきたと思うのですが、その時期について、どのように判断すればよいですか。

 私がこのマンションに新築で入居してから、早10年が経ちました。最近、妻が「外壁の汚れが目立ってきたわね」と話していたり、管理組合の集まりで「大規模修繕」という言葉を耳にする機会が増えたりして、少し気になっています。子供の教育費もこれからかかる時期ですし、一体どれくらいの費用がかかるのか、そして本当に今がそのタイミングなのか。専門家の方のご意見を伺いたいです。

 多くのマンションでは、新築後10年〜15年の間に1回目の大規模改修工事を実施するケースが一般的です。建物の重要な部分である屋上防水の保証期間が10年で切れることが多いため、一つの目安とされています。
 しかし、専門家の中にも「15年は短すぎる」という意見を言う方もいますし、マンションの立地条件(海沿いか否か、冬場の気温が氷点下以下になるか等)や、建物の仕様(タイル張りか塗装か等)によって劣化の進行度は異なります。そのため、まずは一級建築士などの専門家による建物調査診断を受け、どの部分にどのような改修が必要か、その緊急度はどれくらいかを正確に把握することが最も重要です。
 特に、この10数年でマンションを取り巻く状況は変化しています。2022年4月には「マンション管理計画認定制度」がスタートしました。これは、長期修繕計画や修繕積立金の状況などが一定の基準を満たすマンションを、行政がお墨付きを与える制度です。認定を受けることで、資産価値の維持・向上にも繋がります。
 適切な調査診断に基づいて、精度の高い長期修繕計画へと見直すことは、この認定を受ける上でも、そして将来の資産価値を守る上でも不可欠です。

 まずは専門家による調査診断で建物の現状を客観的に把握し、それに基づいた長期修繕計画と資金計画を立てた上で、工事の実施時期や内容を検討されることをお勧めします。

回答者(TK)