管理費債権の消滅時効について、2020年4月施行の改正民法を踏まえると、具体的な時効期間と中断方法(時効の完成猶予・更新)はどのように変わったのですか。

 私は理事会で会計を担当しています。管理費の長期滞納者がおり、時効が心配です。2020年の民法改正で、時効期間や、時効を止める方法(時効の完成猶予・更新)が変わったと聞きました。具体的にどう変わったのか教えてください。

 ご認識の通り、2020年4月施行の改正民法で、管理費債権の消滅時効のルールは大きく変わりました。

 まず時効期間です。以前は管理費は5年、修繕積立金は10年と解釈が分かれる余地がありましたが、改正法では「権利を行使できることを知った時から5年間」(または客観的に「権利を行使できる時から10年間」)に統一されました。これにより、管理費も積立金も、原則として発生から5年で時効が完成することが明確になりました。
 次に、従来の「時効の中断」という概念がなくなり、「時効の完成猶予」と「時効の更新」に整理された点が重要です。「完成猶予」は時効の完成を一時的にストップさせること、「更新」は時効期間をリセットしてゼロから再スタートさせることです。
 具体的な方法として、内容証明郵便などで「催告」を行うと、その時から6ヶ月間、時効の完成が「猶予」されます。その猶予期間内に訴訟などを起こす必要があります。また、滞納者が「支払います」と債務を「承認」したり、一部でも支払ったりすると、その時点で時効は「更新」され、そこから新たに5年のカウントが始まります。

 管理組合としては、時効が迫る前に催告や法的措置を検討することが、より重要になりました。

(回答者:TK)