今回、建物の一部を補修するのに修繕積立金を使おうと考えています、いくらくらいまででしたら、総会決議を経ないでできるでしょうか。

 築25年のマンションで、資材高騰により積立金不足が懸念される中、給排水管の軽微な水漏れ等、緊急性の高い小規模修繕が増えています。迅速な対応のため、理事会決議だけで実行できるよう、「修繕積立金取り崩しの上限額」を規約に設定したいのですが、法的に可能でしょうか?総会を経ない執行のリスクも知りたいです。

 結論から申し上げますと、理事会決議のみで修繕積立金を取り崩す上限額を設定することは原則として認められません。
 修繕積立金は、区分所有者全員の共有財産であり、その取り崩しは、金額の大小にかかわらず、総会(集会)の決議を経る必要があると、標準管理規約に基づき定められています。これは、資金の透明性と組合員全体の合意という、区分所有法上の大原則に基づくためです。総会を経ずに執行した場合、理事長や実行した理事が善管注意義務違反として訴訟リスクを負う可能性があります。

 迅速な対応を実現するためには、以下の2点を検討してください。
 緊急措置と事後承認: 災害など真にやむを得ない緊急事態に限り、理事長権限で応急処置を行い、その費用と内容は直後の総会で必ず追認・承認を得る手続きを踏む必要があります。
 管理費会計からの支出: 軽微で緊急性のある修繕については、「修繕費」として管理費会計の予算に計上しておくことも有効です。新築時なら管理費会計全体の2~3%(1戸当たり数千円)、築20年を超えると5~15%(1戸当たり1~3万)程度に増額設定しているマンションが多いかと思います。この範囲であれば理事会決議での迅速な対応が可能です。

 管理費会計の各支出項目は、前年度の金額を踏襲することが多いので、長年「修繕費」を見直しておられないようでしたら、見直しすることをお勧めします。