大規模修繕で管理会社主導から脱却

 私は理事会の大規模修繕委員会委員です。築24年を迎え、2回目の大規模修繕工事を控えています。管理会社から「うちの関連会社は実績豊富で安心だ」と強く推薦されていますが、不安を感じています。業者選定で管理組合が主導権を取り戻し、コストも品質も納得できる工事を実現するために、どのような具体的なステップを踏み、外部の専門家をどう活用すべきか教えてください。

 築24年で2回目の大規模修繕を控えていることについては、ご心境お察しいたします。大規模修繕工事の業者選定は、十数年に一度の大きな決断であり、管理組合が主導権を握ることが、最終的な成功に繋がる大事な要素です。

 管理会社主導から脱却し、コストと品質の納得感を高めるための具体的な手順をご説明します。
 まず、大切なのは第三者の専門家を管理組合の側に置くことです。このために、管理規約に「専門的知識を有する者の活用」ができる条文があるかを確認してください。この条文がないと第三者の専門家に依頼することができませんので、なければ管理規約の改正をおこなってください。
 この専門家(経験豊富な建築士事務所や工事専門業者など)を、管理会社とは完全に独立した立場で契約し、大規模修繕工事を進めるためのアドバイス(工事の発注方法や施工会社に選定方法等)、工事にかかわる業者との調整・協議、工事の施行などの支援をうけます。
 また、この専門家の選定や工事の発注方法や施工会社に選定方法等を行うコーディネーターとしてマンション管理士を活用するケースもあります。

 大規模修繕工事の発注方法として例えば「設計監理方式」を選択した場合は、専門家に「設計と監理」を担ってもらいます。これにより、管理会社が推薦する特定の業者に依存する状況を解消できます。
 この専門家が、建物の劣化診断に基づいた詳細な設計図書を作成した後、その図書をもとに複数の施工会社から、競争入札方式や見積合わせ方式(相見積もり)などで施工会社を選定します。管理会社推薦の業者を排除する必要はありませんが、その見積もりを客観的な競争にさらすことが重要です。

 選定プロセスを進めるにあたっては、透明性を確保するために、専門家の支援を受けながら理事会と修繕委員会で、価格だけでなく、過去の実績、技術力、保証内容、担当者の対応といった複数の要素を評価する明確な基準を事前に作成し、住民にも公開してください。
 管理会社は建物の修繕履歴を最も知っていますので、その情報を活用することは大切です。しかし、最終的な業者の選定と契約の決定権は、必ず管理組合が持ち、専門家がそのプロセスをチェックする体制を整えることが、トラブルを未然に防ぎ、適正な工事品質を実現する鍵となります。