賃借人(テナント)の違反責任を区分所有者(オーナー)に問えるか?
私は理事長をしています。当マンションは賃貸に出している住戸が多く、賃借人による騒音、ゴミ出しルール違反、共用廊下への私物放置などの苦情が絶えません。管理会社経由で注意しても改善しない場合、直接の行為者ではない区分所有者(オーナー)に対して、管理組合として法的責任を問うたり、改善を要求したりすることは可能でしょうか。対応の手順と法的な根拠について教えてください。
賃借人によるマナー違反は、賃貸化率が高いマンションにとって最も頭の痛い問題ですが、管理組合として必要なのは、区分所有者(オーナー)に「賃借人に対する責任」をしっかり果たしてもらうこと、それに加えて、賃借人に対しても共同生活のパートナーとして、マンションの管理規約や使用細則を守る義務があることを理解してもらうように啓発を行う必要があります。
しかし、これらのことを繰り返しても賃貸人の違反行為が続く場合、直接の行為者ではない区分所有者(オーナー)に対して、管理組合が責任を問うことが可能です。
区分所有者(オーナー)には、区分所有法(主に第6条、共同の利益に反する行為の禁止)と管理規約等を守る義務がありますので、区分所有者(オーナー)は、自身だけでなく賃借人にも管理規約等を遵守させる義務があり、賃借人の違反行為は区分所有者(オーナー)自身の義務違反と見なされます。
したがって、管理組合として区分所有者(オーナー)に法的責任を問うことは可能ですので、まずは、管理組合として次の手順を踏みましょう。
区分所有者(オーナー)に直接、具体的な違反内容と日時を明記した文書を理事長名で送付し、賃貸人として直ちに規約を遵守させるよう要求してください。この文書で、区分所有者(オーナー)の責任を明確に自覚してもらうことが重要です。また、規約に定めがあれば、賃借人の連絡先などの情報開示を求め、区分所有者(オーナー)が適切に対応しているかをチェックします。
これらの再三の要求にもかかわらず区分所有者(オーナー)が指導を怠り、騒音などの違反が継続し、共同生活の秩序が維持できなくなった場合に限り、最終手段として法的な措置を検討することになりますが、法的な措置を行う前に、区分所有者(オーナー)や賃貸人と、司法型ADR(裁判外紛争解決手続)である「民事調停」、民間型ADR(裁判外紛争解決手続)である「マンションADR」などの話し合いで解決する方法を検討してください。
これらで解決できなければ法的な措置に移ります。
具体的には、区分所有法第57条に基づき、裁判所へ「行為の停止請求」や「使用停止請求」を訴え出ることになります。
ただし、居住権は非常に重い権利であり、訴訟や使用停止は他の手段をすべて尽くした後の、最終的な防衛策として位置づけることが肝要ですので、ここに至る前に、管理組合としては、区分所有者(オーナー)の自発的な責任遂行を促すための丁寧な文書と、問題解決に向けた毅然とした姿勢を記録に残しつつ進めることが最も大切です。


