管理規約の改正(変更)の手順
「管理規約の改正・変更が必要なことは分かったが、管理会社に依頼しても忙しいので応じてくれない、マンション管理士に依頼するための費用がない。」 といった管理組合の皆様のために、ご自分たちで管理規約の改正(変更)を行う際の手順を解説します。
作業には一定の時間と手間がかかりますが、一度経験すれば、次回以降は比較的進めやすくなります。
また、後半では作業後の留意点も記載していますので、管理会社等から提示された改正案を検討する際にもご利用ください。
大前提:作業にあたっては、パソコンやWord操作に慣れた方が必要です。
Ⅰ.改正案の作成手順
1.ご自分のマンションの管理規約を確認します
- Word版がある場合は、「2.新旧対照表を作成します」に進みます。
- Word版がない場合(紙ベースの場合)は、標準管理規約のWord版をベースに、ご自分のマンションの管理規約のWord版を作成します。
Word版がない場合の作業手順
- ご自分のマンションの形態(単棟型・団地型・複合用途型)に応じた標準管理規約をダウンロードします。
※Word版は下の「標準管理規約Word版はこちら」からダウンロードできます。 - ダウンロードしたWord版の標準管理規約と紙ベースのご自分のマンションの現行管理規約を条項ごとに比較します。
- 異なる条文・条項番号があれば、Word版の標準管理規約の方を、ご自分のマンションの管理規約(紙ベースの管理規約)に合わせて正確に修正していきます。(打ち直します)
- 修正後のファイルを保存します。
- 紙ベースの現行管理規約に書かれていない記載がWord版の標準管理規約の中にあれば、その該当箇所を全て削除します。
- 最後に、紙ベースのご自分の管理規約と作成したWord版の管理規約が、一言一句同じであるか確認してください。
- 再度保存します。これで、ご自分のマンションの管理規約のWord版の完成です。
標準管理規約Word版ダウンロードはこちら
2.新旧対照表を作成します
- 下記欄にある「新旧対照表」Word版をダウンロードします。
- 「標準管理規約」欄に、標準管理規約のWord版を挿入します。
- 「現行管理規約」欄に、準備したご自身のマンションの現行管理規約Word版をコピーし挿入(コピー&ペースト)します。
- 「改正管理規約」欄にも、2と同じ要領で現行管理規約のWord版を挿入します。
- 「改正管理規約」欄にある現行管理規約で、今回必要な改正箇所を修正していきます。
- ご自分のマンションに組み込まない標準管理規約の条文は削除し、ずれた条項番号を補正します。
- 「現行管理規約」と「改正管理規約」の改正箇所に下線を引きます。
これにより、「標準管理規約」「現行管理規約」「改正管理規約」の3段表が作成できます。
| 標準管理規約(2025_10) | 現行 管理規約 | 改正 管理規約(案) | 備考 |
|---|---|---|---|
|
(総会の会議及び議事) 第47条 総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、前条第1項に定める議決権総数の過半数を有する組合員が出席しなければならない。 2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。 3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前2項にかかわらず、組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員及びその議決権の各4分の3以上で決する。 一 規約の制定、変更又は廃止 二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。) 三 前号の敷地及び共用部分等の変更に伴って必要となる専有部分の保存行為等 |
(総会の会議及び議事 第47条 総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、前条第1項に定める議決権総数の半数以上を有する組合員が出席しなければならない。) 2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。 3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前項にかかわらず、組合員総数の4分の3以上及び議決権総数の4分の3以上で決する。 一 規約の制定、変更又は廃止 二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。) |
(総会の会議及び議事) 第47条 総会の会議(WEB会議システム等を用いて開催する会議を含む。)は、前条第1項に定める議決権総数の過半数を有する組合員が出席しなければならない。 2 総会の議事は、出席組合員の議決権の過半数で決する。 3 次の各号に掲げる事項に関する総会の議事は、前2項にかかわらず、組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員及びその議決権の各4分の3以上で決する。 一 規約の制定、変更又は廃止 二 敷地及び共用部分等の変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないもの及び建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)第25条第2項に基づく認定を受けた建物の耐震改修を除く。) 三 前号の敷地及び共用部分等の変更に伴って必要となる専有部分の保存行為等 |
参考イメージ
新旧対照表の元データのダウンロードはこちら

▼標準管理規約とコメントの対照表もご参照ください。
3.「改正管理規約」欄の改正箇所(下線部分)と細則等との整合性を確認します
細則の修正が必要な場合は、適時修正します。
4.総会提出用の管理規約改正案を作成します
「現行管理規約」と「改正管理規約」欄の改正箇所(下線の部分がある条文)と、その部分に該当する「標準管理規約」の条文を残して、その他を削除します。
以上が、管理規約改正案を作成する基本的な手順です。
Ⅱ.作業後の留意点
1.管理規約の立ち位置
マンションの共通ルール
マンションにかかわる法律は、区分所有法、マンション管理適正化法、民法、建築基準法などおおくありますが、日常的な管理運営をおこなっていく上で、いちいちこれらの法律を参照していくことはできません。また、マンションは年齢や性別、職業、価値観が異なる居住者(区分所有者)が共同生活を営んでいます。このため、マンションの実状に応じた居住者(区分所有者)間の共通したルールを定めることが必要となります。
区分所有法と管理規約
マンションの権利関係や管理運営の基本原則を定めたものが区分所有法です。区分所有法第30条では「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができる。」と規定されています。この条文に基づき、それぞれの管理組合で規約自治の原則に従って、共同して適切なマンションの管理を行うために作成するものが管理規約となります。
また、 区分所有法では「・・できる。」と管理規約の作成を義務づけてはいませんので、管理規約を作るかどうかは、それぞれのマンションで自由に決められますが、マンションの維持管理を良好なものにしていくための最高の自治規範として必要不可欠なルールとなります。
標準管理規約
管理規約はそれぞれのマンションで自由に作成できるため、分譲会社や管理会社が個々の考えで管理規約を作成していましたが、内容的に不十分なものが多くありました。そこで、昭和57年に当時の建設省(現在の国土交通省)が「中高層共同住宅標準管理規約」を作成、翌昭和58年の区分所有法の改正に合わせ、「中高層共同住宅標準管理規約及び中高層共同住宅標準管理規約コメント(改訂版)」を管理規約作成の指針とするように通達をだしました。
平成13年にマンション管理適正化法が施行され、「中高層共同住宅標準管理規約」は「マンション標準管理規約」と「マンション標準管理規約コメント」に名称変更され、「管理組合が、各マンションの実態に応じて、管理規約を制定、変更する際の参考」にするものとされました。
2.管理規約の改正時に気をつけること
通常、管理規約を改正する際は、標準管理規約に準拠して改正しますが、必ずしも全て標準管理規約と同じにする必要はなく、それぞれのマンションに応じて改正できますが、その場合は次の項目に気をつけてください。
- 管理規約で定めることができる事項の確認
管理規約で定めることができる事項は、区分所有法第30条で「建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項」と、区分所有法で個別的規約事項となっている事項に限られます。これ以外のことを管理規約に定めても効力はありません。 - 区分所有法の強行規定に反しないこと
区分所有法で「規約で別段の定めができる」となっていない規定は、区分所有法と異なる定めを管理規約で定めても無効となり区分所有法の規定が直接適用されますので、強行規定に該当するか否かの確認が必要です。
また、標準管理規約では、区分所有法の強行規定についても、確認的に規定を定めていますので、その規定が区分所有法の強行規定を確認的に定めたものかの確認が必要です。 - 権利に係る規定への留意
管理規約は、区分所有者以外の者の権利を害することはできません。
また、一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす改正には、その区分所有者の承諾が必要です。 - 区分所有者間の利害の衡平
管理規約の改正を行う際は、一部の区分所有者の不利益にならないように、区分所有者間の利害が衡平になるようにする必要があります。 - 別表の内容確認
別表第1の附属施設欄に掲載されているものや、別表第2の共用部分の範囲に掲載されているものが現在存在するかどうかの確認をおこない、修正する必要があります。
3.標準管理規約コメントを確認しましょう
標準管理規約のコメントには、各条文の趣旨や改正理由、運用上の考え方が詳しく解説されています。
管理規約を改正する際は、条文だけを見るのではなく、コメントも併せて確認することが重要です。
コメントを確認するメリット
- なぜその条文が設けられているのかを理解できる
- 標準管理規約が改正された背景を把握できる
- 自分のマンションに取り入れるべきかどうか判断しやすくなる
- 総会で区分所有者へ説明する際の根拠資料になる
- 誤った解釈による規約改正を防ぐことができる
標準管理規約・コメントはこちら

標準管理規約・コメント対照表 各種条文比較表
国土交通省が公表するマンション標準管理規約について、 条文とコメントを相互に確認しやすい形に整理した対照表です。 単棟型・団地型・複合用途型の各規約について、 条文の内容だけでなく、その趣旨や解釈を示すコメントと併せて確認することができます。
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4.マンション管理士に依頼する際の注意事項
マンション管理士に依頼する場合は、現行の管理規約に、標準管理規約第34条(専門的知識を有する者の活用)にも同様の記載がある以下の条文が含まれていることが望まれます。
管理組合は、マンション管理士(適正化法第2条第五号の「マンション管理士」をいう。)その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる。
また、マンション管理士等の専門家への委託費用については、原則として事前に総会で承認(予算化)を受けておいてください。まだ予算化ができていない場合は、事前にマンション管理士等の専門家へご相談頂く事をお勧めいたします。
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